茨城県にある日本原子力発電の東海第2原発は今月末に「原則40年」の運転期限が迫っていた老朽原発です。事故を起こした東京電力福島第1原発と同型の沸騰水型でみると、廃炉を決めた原発以外で最も古い。
避難計画を義務づけられた半径30キロ圏には96万人もの住民が生活しており、実効性のある計画はどう考えても非現実的です。この原発を再稼働させようとする動きに、周辺の首長を含め反対の声が高まるのは当然です。
「原則40年」は福島原発事故後に法律に盛り込まれた規定。最大20年の期間延長もできるとされましたが、政府は「例外」といいました。ところが審査を担当する原子力規制委員会は、これまで関西電力から申請があった3基の延長を認め、東海第2も認めました。
「例外」が常態になっています。安倍政権が2030年度の電力構成で20~22%を原発で賄うという目標を後押ししている形です。福島原発事故を忘れたかのようです。
福島県に毎月通い、ボランティアで被災者の相談に乗り調査活動をしている放射線防護学の専門家、安斎育郎さん。福島に通うにつけ原発は廃絶以外にないと語り続けている安斎さんが、先週の話を、こう締めくくりました。
原発が事故を起こせばなおさら、そうでなくても何万年にもわたって管理が必要な「核のゴミ」を未来の世代に押しつける。彼らには現代の原発についてなんの選択権もない。私たちは「未来世代の人々から意思決定を委託されている。慎重に行動しなければならない」と。
(「しんぶん赤旗」2018年11月10日「潮流」より転載、見だしは=山本雅彦)