東海第2原発 運転延長を認可・・廃炉までたたかう 規制委に市民抗議
日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の運転期間延長を原子力規制委員会が11月7日認めたことに対し、同委員会が開かれた東京都港区のビル前で同日、市民団体が抗議活動を行いました。約40人が参加し「東海第2、延長反対」「命を守れ」などと声を上げました。
市民らは、同原発の運転延長・再稼働に反対する署名約1万5000人分を原子力規制庁に手渡しました。すでに提出した署名を合わせ、約3万人分になりました。
同委員会を傍聴した東京都港区の片岡洋子さん(76)はマイクを握り「規制委は、事故が起きた時、責任を取れるのでしょうか。一日も早く脱原発社会をつくるため、みんなで力を合わせていきましょう」と訴えました。
自宅が同原発から約70キロの距離にある茨城県牛久市の女性(61)は「すごく悔しく腹立たしいが、廃炉にするまでたたかい続けます」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2018年11月8日より転載)
東海第2原発 運転延長を認可・・実効ある避難計画無理/茨城アクション実行委 原電・規制委に抗議
原子力規制委員会が7日、日本原電東海第2原発(茨城県東海村)の20年運転延長を認可したことを受け、脱原発を掲げる県内の団体でつくる「原発いらない茨城アクション実行委員会」は同日、規制委と日本原電への抗議声明を発表し、再稼働に反対する申し入れ書を日本原電茨城事務所(水戸市)の大森佳軌(よしのり)所長に手渡しました。
日本原電への申し入れでは、東海第2原発が運転開始から40年を迎え、さらに運転延長を認めることは「実験」に他ならないと指摘。「大多数の茨城県民及び首都圏の住民が再稼働に反対している」と強調し、運転延長の認可に抗議を表明しています。
規制委に対する声明では、同原発が「老朽化」「人口過密地域の立地」と国内で最もハイリスクな条件にあると指摘。実効性ある住民の避難計画は現実にはありえないとし、認可決定に抗議しています。
日本原電への申し入れには64の団体が賛同し、35人が参加。参加者からは「運転延長は認められない」「再稼働反対」と抗議の声が上がりました。
(「しんぶん赤旗」2018年11月8日より転載)
解説 東海第2原発 運転延長を認可・・期限延長 審査は形骸化
原子力規制委員会が再び老朽原発の運転期間延長を認める決定をしました。当初は「例外」とされた運転期間の延長ですが、事業者が申請した4基の原発すべてに規制委は期限内に認可を出しています。延長審査の形骸化が深刻です。
原子炉等規制法では、原発の運転期間は40年と定められており、運転期間の延長認可は、運転開始から40年を超えない日までという期限があります。また延長認可の前提に新規制基準への適合性確認やそのための設備の耐震性などを示した工事計画の認可が必要です。東海第2原発では、これらの審査も11月27日までの期限切れの危険をはらみながら進められました。
防火対策で難燃性が要求されているケーブルの問題や敷地の液状化対策、東京電力などが防潮堤などの対策工事の支援を表明した経理的な問題などで長期化。規制委の更田豊志委員長は、審査の見通しについて打ち切りを示唆する時期もありましたが、規制委側はたびたび、原電に申請書類の提出を急がせるなど合格に向けて協力しました。規制委の在り方が問われます。
(松沼環)
(「しんぶん赤旗」2018年11月8日より転載)