四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を今年9月末まで差し止めるよう命じた広島高裁の仮処分決定(昨年12月)をめぐり、広島、松山両市の住民4人が10月以降の期限延長を求めた新たな仮処分申請で、広島地裁(藤澤孝彦裁判長)は26日、申し立てを却下しました。
藤澤裁判長は、巨大噴火が阿蘇で発生する可能性は非常に低いと指摘。その上で「噴火によって原子炉で事故が起こるリスクは、直ちに除去しなければならないほどの重大な損害又は急迫の危険には当たらない」としました。
決定後、裁判所前に「伊方原発、止められず」「司法。判断から逃げまくる」の垂れ幕が掲げられると、多くの支援者らから怒りの声が上がりました。申立人の小倉正さん(57)は「いちるの期待をもって臨んだが、過去の過ちをまったく反省していない判断だ。この国に正義はないのか」と訴えました。
決定を受けて伊方原発広島裁判弁護団は、これまでの多くの裁判例に反し、原子力規制委員会の「火山影響評価ガイド」やそれに基づく適合性審査の不合理性の判断を回避した「不当決定」だとの声明を発表しました。
四電は27日に再稼働させる予定。
(「しんぶん赤旗」2018年10月27日より転載)