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北海道地震 現地を調査・・新たな断層見つけていた/石狩沖積低地研究会 岡孝雄さんに聞く(上)

 9月6日午前3時8分に発生した、北海道胆振(いぶり)地方中東部を震源とするマグニチュード(M)6・7の地震は、厚真町で道内初めての震度7を観測。同町では各所で山の斜面が崩壊して36人が犠牲になったのをはじめ、同地震による死者は道内で41人にのぼる大災害となりました。地震の後、現地へ調査に入った「石狩沖積(ちゅうせき)低地研究会」の岡孝雄さん(NPO法人北海道総合地質学研究センター・シニア研究員)に聞きました。

 (聞き手・原千拓)

新たな活断層見つけていた

 私たちは地震から1週間後の9月13日、24日に、山の斜面が崩壊した厚真町の桜丘、吉野、富里、幌内地域などを調査してきました。主な目的は、この地域にある活断層などが活動したかどうか、多発した斜面崩壊の状況を調べることでした。

少なくとも四つ

 活断層については、研究会は2014~17年にかけて厚真川流域の地形・地質調査の中で中流域にあたる桜丘から幌内にかけての地域の調査を行っており、この地域で少なくとも四つの南北に走る活断層あるいは活断層の可能性がある線状模様(地形的変位)を検出していました。

ずれは発生せず

 9月13日の調査では、吉野東方(富里西方)で以前、活断層が露出しているのを見つけた箇所で新たな露出が見つかり、私たちが活断層ではないかと考えていたものがより明瞭に確認できました。この断層は国土地理院が地震後に撮影した空中写真でも東側が落ちた明瞭な地形変位が南北方向の線として確認できたため、新たに「吉野断層」と名付けることにしました。

 しかし、今回の地震ではこの活断層については新たなずれは発生していないことも確認しています。桜丘から幌内地域の他の活断層の可能性があるものについても、今回の地震で新たな変位が生じた様子は今のところ認められませんが、さらに調査を重ねるつもりです。

 (つづく)

(「しんぶん赤旗」2018年10月23日より転載)