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津波対策“知らぬ、存ぜぬ”・・東京地裁 東電元副社長 被告人質問

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第31回公判が10月17日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれ、前日に続き元副社長武藤栄被告(68)の被告人質問が行われました。

 検察官役の指定弁護士が、「(2008年の)最大15・7メートルの計算に基づいた防潮堤を検討し、具体的工事をすれば事故を防げたのではないか」と追及したのに対し、武藤被告は「わかりません」などと述べました。

 また指定弁護士は、2008年3月に社員から当時、原子力・立地副本部長だった武藤被告に送ったメールで津波対策について「最新の知見を踏まえる」とあり、「当時の東電の考えでは」と追及。武藤被告は、「読んでません」「分かりません」と答えました。また、09年の株主総会に向けた想定問答集でも、政府機関の「長期評価」を踏まえた津波で福島第1原発の非常用ポンプが水没するとあるのを取り上げて質問。これに対し武藤被告は「会社の見解ではない」と否定しました。

 公判後の会見で、事故被害者の代理人として法廷に立った海渡雄一弁護士は、武藤被告の証言について「客観的証拠と食い違いが大きすぎる。残っているメールや会議録で、あったことまでないと言い切る。自ら信用を失ったのではないか」と述べました。

 武藤元副社長への質問はこの日で終わり、19日に元副社長武黒一郎被告(72)、30日に元会長勝俣恒久被告(78)の被告人質問が予定されています。

(「しんぶん赤旗」2018年10月18日より転載)