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原発事故 津波対策決定なかった・・東電公判で元副社長が証言

東京電力福島第1原発事故で、旧経営陣3人が強制起訴された公判の東京地裁の廷内=10月16日午前、東京都千代田区(代表撮彫)

 東京電力福島第1原発事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第30回公判が16日、東京地裁(永渕健一裁判長)であり、武藤栄・元副社長(68)の被告人質問が始まりました。2008年2月に3被告も出席した「中越沖地震対応打ち合わせ」(通称「御前会議」)で、津波対策が必要だとする方針が了承されたことについて、「方針が決まっていたことはない」と全面的に否定しました。

 東電元幹部の調書によると、この御前会議で、02年7月に公表された政府機関の地震予測「長期評価」に基づいて福島第1原発で津波対策を取る方針が了承されたとしています。その後、08年3月の常務会でも津波対策の実施が決定されています。

 公判で武藤被告は、御前会議が「何かを決める会議ではなかった」などと主張。津波高が従来より超えるとする配布資料も「一切話題にもならなかった」と述べました。

 また、東電が子会社に委託して計算させた「長期評価」に基づく15・7メートルという結果も、08年6月の打ち合わせで初めて説明を受け「唐突感があった」などと証言。政府機関の「長期評価」の取り扱いについて、部下が「信頼性がない」といったので、「信頼性がないと思った」と述べました。

 そしてこの結果を「研究しよう」と専門家に検討を依頼したことについて、「対策の先送りというのは全くなく、大変心外」と話しました。

 指定弁護士はこれまで「試算に基づき対策していたら事故は回避できた」と主張してきました。

 武藤被告への質問は17日も行われます。

(「しんぶん赤旗」2018年10月17日より転載)