日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 福島第1原発 東電公表遅れに批判・・処理水 基準超めぐり

福島第1原発 東電公表遅れに批判・・処理水 基準超めぐり

 東京電力福島第1原発の多核種除去設備(アルプス)で処理した汚染水の約8割にトリチウム(3重水素)以外の放射性物質が国の放出基準(告示濃度限度)を超えて残っている問題で、処分方法を議論している国の小委員会が1日、東京都内で開かれ、委員からは、情報を公表してこなかった東電を批判する意見が出ました。

 東電は、アルプスで処理しタンクにためている汚染水の性状について報告しました。対象とした約89万トンのうち約8割の約75万トンが基準を上回ると推定。ストロンチウム90が基準(1リットル当たり30ベクレル)の約2万倍の約60万ベクレル含まれているタンク群もありました。東電は、基準を超えている汚染水は再処理する方針を表明しました。

 関谷直也東京大学准教授は、アルプス処理水に含まれる放射性物質はトリチウムだけであることを前提に小委員会で議論してきたと指摘。「今までの議論を東電はどういう視点で見ていたのか。国民への説明として、倫理的に問題はなかったと考えるのか」と批判しました。

 東電の松本純一・福島第1廃炉推進カンパニー廃炉推進室長は「十分な説明ができていなかったことは問題があった」と述べました。

 別の委員も、東電が示した情報について「国民が関心を持っていると思わなかったのか」と追及しました。

 同小委員会の山本一良委員長は、汚染水の処分方法である「海洋放出」を含む5案以外にも、タンクで保管する選択肢について議論する考えを表明しました。8月30、31両日開いた公聴会では、タンクでの長期保管を求める意見が多数表明されていました。

(「しんぶん赤旗」2018年10月2日より転載)