北海道地震・・東西に圧縮する力 震源の西側に活断層
気象庁「関連不明」
今回の地震は、北海道地方がのる陸のプレートの内部にある内陸の断層が活動して発生しました。震源の西側には、石狩低地東縁断層帯が南北に走っています。
政府の地震調査研究推進本部の長期評価によると、石狩低地東縁断層帯は、美唄市から安平町(あびらちょう)に至る長さ約66キロの主部と、千歳市から日高町沖合に至る長さ54キロ以上とされる南部に区分されています。いずれも東西に圧縮する力が加わることにより、東側が西側に対して隆起する逆断層です。
主部全体が活動した場合マグニチュード(M)7・9程度の地震が発生するとしており、今後30年以内の発生確率はほぼ0%としています。一方、南部全体が活動した場合M7・7以上の地震が発生するとしており、今後30年以内の発生確率は0・2%以下で「やや高い」とされています。
主部が活動して地震が発生した場合に予想される震度分布図では、千歳市や安平町、厚真町(あつまちょう)などで震度6強や震度7の強い揺れが起きることが想定されており、南部が活動して地震が発生した場合には苫小牧市や厚真町、むかわ町などで震度6強や震度7の強い揺れが起きることが想定されています。
気象庁の観測では、今回の地震は東北東から西南西に圧力軸を持つ逆断層型でした。ほぼ東西方向に圧縮する力が加わっていたために発生した地震だったことを示しています。
通常、内陸の断層が活動して地震が発生する場合、深さ10~20キロぐらいの比較的浅い場所で起こりますが、今回は深さ37キロと深いところで発生しました。また、震源に近いところだけでなく、札幌市や室蘭市などを含む広い範囲で震度5強や震度5弱の強い揺れを観測しました。
気象庁は、石狩低地東縁断層帯について「関連はわからず、今後の地震調査委員会で評価される」としています。
(間宮利夫)
北海道地震・・「ひずみ集中帯」で発生
今回の震源域の東側では海のプレート(岩板)が陸のプレートの下に沈み込んでおり、震源域を含む北海道の東部は、ひずみがたまりやすい「ひずみ集中帯」となっています。
ひずみ集中帯を研究している京都大学防災研究所の西村卓也准教授によると、この地域のひずみには、海溝型巨大地震に関連するひずみと、今回のような内陸直下型地震に関連するひずみの成分が含まれます。
西村さんは「震源の周辺は、北海道の東部が西部に衝突して乗り上げている地域だと考えられています。日高山脈は衝突の結果できた山脈です。また今回の地震との関連が疑われている石狩低地東縁断層帯など断層がいくつも平行してできています。今回の震源は石狩低地東縁断層帯の東側にあり、衝突の影響でひずみがたまりやすい場所だと解釈できます」と説明します。
石狩低地東縁断層帯は非常に長い断層(推定100キロメートル以上)です。今回の地震が関連しているとすれば、一部が動いたにすぎず、「断層全体にたまっているひずみの全部を解放していない可能性がある」と西村さんは指摘。M6・5の地震の後に隣接する活断層がより大規模の地震を引き起こした、2016年の熊本地震を念頭に「しばらくは引き続き注意する必要がある」と話しています。
(中村秀生)
(「しんぶん赤旗」2018年9月7日より転載)