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防災週間に考える①・・地震列島の“死角” 震度6弱でも住宅被害甚大

 地震列島・日本―。6月18日に発生した大阪府北部地震(マグニチュード=M6・1)では、高槻市、茨木市などで震度6弱を記録し、ブロック塀の倒壊による死者を出したほか、交通や電気、ガスがストップするなど都市部における地震の影響の大きさをみせつけました。専門家は、同じ震度6弱でも、さらに大規模な建物被害が起こりうると警鐘を鳴らします。目立った活断層が存在しない場所でも大きな地震が起こることなど、一般にあまり知られていない“死角”となっている問題について、防災週間(5日まで)に考えました。 

(中村秀生)

揺れの周期で差

 最大震度6弱を記録した大阪府北部地震の住宅被害は、大阪府防災・危機管理司令部によると、全壊が14棟、半壊が327棟(府内、8月8日時点の速報値)でした。

 地震による構造物被害について研究する筑波大学の境有紀(さかい ゆうき)教授は「『震度のわりに被害が少なかった』『自分の家が震度6で大丈夫だった』からといって、決して建物の耐震性能が高いわけではない」と警鐘を鳴らします。

 地震の揺れには、小刻みに揺れる短い周期のものから、ゆっくりした長周期の揺れまでさまざまな周期の揺れがあります。

 今回の地震は、揺れの周期が0・5秒以下の「極短周期」の成分が大きな地震動(地震による地面の振動)でした。震度は大きく算定されるものの、建物の大きな被害に結びつく周期1~2秒の成分は小さい地震でした。

 極短周期の地震動は建物の一部損壊、家具の転倒、屋根がわらのずれ、ブロック塀の倒壊などの被害が出るのが特徴。震度6弱以上の地震動のうち8~9割を占めると境さんは説明します。

 周期1~2秒の成分が大きい地震が発生した場合は、震度6弱であっても全壊・倒壊といった大きな被害を受ける可能性のある建物が数多く存在すると考えられます。こうした地震は全体の1~2割を占めるといいます。

 境さんは、1995年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)で、JR神戸駅周辺での震度6弱の揺れは周期1~2秒の成分が大きく、家屋全壊率が16・1%もあったことを例にあげてこう強調します。「同じ震度でも建物の状態や地震動の性質によって被害は異なる」

 境さんによると、発生する地震動は、震源と地盤構造の組み合わせで決まります。震源については、マグニチュード(M)が大きいほど長周期化しやすくM7級が周期1~2秒を出しやすいといいます。地盤については、大阪平野は堆積盆地で周期1~2秒が出やすい構造です。

 今回はM6級で震源から短い周期の揺れが多く出たと考えられますが、大阪の中心部にある上町断層で想定されるようなM7級の地震が起これば、周期1~2秒の地震動で甚大な被害が出る可能性があるといいます。

 「構造物の倒壊に伴う人命の損失を減らしたい」という思いで研究を続ける境さん。現在の耐震基準を満たしていない建物の耐震補強を怠ってはならないと呼びかけています。


地震列島の゛死角゛・・各地の発生確率は

 日本全国には約2000の活断層があるといわれています。国の地震調査研究推進本部(地震本部)は、114の主要活断層帯が引き起こす地震や海溝型地震の評価を進め、「全国地震動予測地図」を公表しています。「J―SHIS地震ハザードステーション」のウエブサイトでは約250メートル四方のメッシュで計算結果が示されており、身近な地域での評価結果を調べることができます。

 一方、内陸地震については、地表に活断層が出現していない場所で大きな地震が続発しています。M6・5以上の震源断層が地表に出現するのは20%、M7・0以上では44%という専門家の見積もりもあります。活断層が見つかっていない場所にも、M7・0程度の大きな地震を起こす断層が多数、地下に隠れている可能性が指摘されています。

 

(しんぶん「赤旗」2018年9月2日より転載)