日本原子力研究開発機構は8月30日朝、廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料の取り出し作業を始めました。核燃料取り出しには30年を要し、廃炉作業の第1段階に当たります。準備段階でトラブルが相次ぎ、当初7月下旬を予定していた作業開始を延期していました。
機構は2022年までに「燃料貯蔵設備」と原子炉に入っている計530体の取り出しを終えると説明しています。ただ、これまでに原子炉から2体しか取り出した経験がなく、空気や水に触れると激しく燃える冷却材の液体ナトリウムの扱いも難しいため、作業が難航する可能性もあります。
燃料の取り出しに先立ち、機構は今月19~28日、貯蔵設備に入っていた制御棒を燃料に見立てて取り出す訓練を実施。初日に燃料出入機(だしいれき)の警報が鳴って作業を中断したが、再開した20日以降は順調に1日1体ずつ取り出したといいます。機構は「操作員らの習熟が確認できた」としています。
機構によると、操作員ら計25人が3班体制で作業に当たり、この日はうち7人が作業。出入機を使って貯蔵設備にある燃料を取り出し、付着した液体ナトリウムを洗浄した後、ステンレス製の長さ約4・5メートルの缶に収納し、水で満たされた「燃料池」に移します。
機構は今年12月までに、貯蔵設備にある160体のうち100体を燃料池に移すことを目標とし、原子炉からの取り出しは来年7月に始める計画です。47年度までに廃炉を完了するとしています。
(2018年8月31日付け、福井新聞から一部転載)