原子力規制委員会の新規制基準(2013年7月施行)による原発再稼働に向けた適合性審査が始まって半年になります。現在、実質的な審査が行われているのは、4電力会社6原発の10基です。電力会社が必要な資料を出さずに審査が先送りになることもあります。
実質的な審査が行われているのは、北海道電力の泊3号機、関西電力の大飯3・4号機と高浜3・4号機、四国電力の伊方3号機、九州電力の川内1・2号機と玄海3・4号機です。
規制委は12月27日、電力会社の審査資料の提出状況の一覧を示しました。
それによると、重大事故対策や、地震・津波対策など主要27項目の19~21項目は一通り資料が出ていますが、規制委は「内容の不備があるものもあり、あくま
で進行の目安」としています。
未提出の資料は地震・津波対策に関わるものが多く、想定される地震の最大の揺れを示す基準地震動が確定しないと、審査が進まない項目もあります。
いずれの電力会社も7月に審査を申請しましたが、半年たっても必要な資料がそろえていない状況。″再稼働先にありき″の電力会社の姿勢を示すものです。
また、審査の場では、規制委が電力会社側の示す対策に多くの不備を指摘し、再考を促すことは多々あります。年内最後となった27日の第65回会合で伊方原発の資料が出されましたが、それによると、同原発に関して、これまで147項目の不備が指摘され、そのうち64項目が未回答となっています。
資料提出の遅れについて、規制委事務方の原子力規制庁の森本英香次長は会見で、電力会社に対し「(資料提出を)努力していただきたい」と述べました。
規制庁は審査にあたる人員の増強のほか、さらに審査の効率化を検討しています。