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全原発敷地内に地下水・・新基準に対策規定なし

福島第1原発で進められた汚染地下水対策=8月15日撮影(東京電力提供)
福島第1原発で進められた汚染地下水対策=8月15日撮影(東京電力提供)

福島第1原発で抜本的な解決策が見いだせない地下水の汚染問題。全国の他の原発でも地下水は流れており、電力各社は日常的に排水作業を行っています。原子炉から放射性物質が放出されるような重大事故が発生すれば福島第1原発と同じ事態が起きる恐れもありますが、原子力規制委員会が策定し今年(2013年)7月に施行された原発の新規制基準には地下水対策の規定がありません。

時事通信が原発を保有する電力10社に取材したところ、福島第1原発以外の全16原発でも敷地内に地下水が流れていました。各社は地下水を集めて排出したり、井戸を掘ってくみ上げたりして、原子炉建屋周辺に地下水がたまらないようにしているといいます。

排水の理由について各社は「建屋への水圧低減」(東北電力)、「建屋に水が入るリスクや浮力がかかることを避けるため」(中部電力)などと説明しています。

事故前は福島第1原発でもくみ上げ用の井戸を掘って地下水を排出していましたが、津波で井戸が使えなくなり、排水できなくなりました。そこに1日400トンの地下水が建屋に流れ込み、汚染水となって増加。収束作業の大きな障害となっています。

規制委は福島原発事故を教訓に、初めて過酷事故対策を義務づける規制基準を作りました。しかし地下水対策については規定がないまま、9原発16基の再稼働にむけた申請がされ、審査が進められています。

地震や津波によって地下水の排出ができない状況を想定する必要性について、原子力規制庁は「今後起きる事故が必ずしも福島第1原発事故と同じになるとは限らない。一般から募集した意見でも指摘はあったが、基準に盛り込まなかった」と話しています。

福島第1原発の汚染水問題

溶融した核燃料を冷却するため、原子炉内に1日400トン近く注水しています。その水が放射性物質を含んで高濃度の汚染水が発生するとともに、1日400トンの地下水が建屋地下に流れ込み、大量の汚染水が発生します。これをセシウム除去装置で処理してタンクに貯蔵しています。これを安全に保管し、外部への漏えいを防ぐことが事故発生直後からの大きな課題となっています。

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