高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉決定などで破たんがいっそう明らかな核燃料サイクル問題の講演会が4月19日、都内で開かれました。講演した専門家からは「もんじゅ廃炉決定を機に、核燃サイクルを再検討すべきだ」などの指摘が挙がりました。主催は日本弁護士連合会。
政府は、原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して、高速増殖炉などに再利用する核燃料サイクルに固執しています。
内閣府原子力委員会で委員長代理を務めた長崎大学の鈴木達治郎教授が「核燃料サイクルの現状と課題」と題して講演。原発の新規制基準の下で、日本原燃六ケ所再処理工場(青森県)の建設費用は約7500億円増加し、当初想定の4倍の約2・9兆円に上り、完成後40年間の総事業費は1・3兆円増の13・9兆円に達すると指摘しました。
鈴木氏は「こうした費用は結果的に、電気料金として利用者の負担となる」と強調。「再処理によって、捨てにくい超ウラン廃棄物が発生するなど、放射性廃棄物の処分としても有用ではない」として、全量再処理路線からの脱却が必要だと話しました。
民主党政権下で国家戦略室企画調整官を務めた伊原智人氏は、再処理路線を見直す機会はこれまでにもあったものの、「国と電力会社双方が“相手がやるべきだ”と責任をとっていない」と指摘。原発政策の再考や、再処理施設の立地自治体への説明といった課題を、国も電力会社も避けている現状を語りました。
(「しんぶん赤旗」2018年4月21日より転載)