高濃度汚染水漏えい・・福島第1 抜き取り作業後に
東京電力は12月26日、福島第1原発でタンクにつながる配管から汚染水を抜き取る作業に使ったホースの中に残っていた高濃度の放射能汚染水を舗装面にこぼしたと発表しました。
漏えい量は約7リットルで、放射性物質濃度は、セシウム134が1リットル当たり約2200ベクレル、セシウム137が同約1万6000ベクレル、全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)が同約4800万ベクレルでした。国の放出基準(告示濃度限度)は、セシウム134が同60ベクレル、セシウム137が同90ベクレル、ストロンチウム90で同30ベクレル。
同タンクは組み立て式の「フランジ型」で漏えいする危険性が高いことから、解体に向け配管の汚染水の抜き取り作業をしていました。作業後にホースを片付けている際に、こぼしたといいます。
同タンクにためていたのは多核種除去設備(アルプス)で処理した後のトリチウム(3重水素)汚染水でしたが、タンクにつながる配管は処理途中の高濃度汚染水を移送したことがあるため、セシウムやストロンチウムなどで汚染されていました。
(「しんぶん赤旗」2017年12月28日より)
炉心溶融など言葉の使用・・官邸の指示確認されず
新潟県と東京電力は12月26日、福島第1原発事故で炉心溶融(メルトダウン)の公表が遅れた問題を調査する合同検証委員会の第3回会合を開きました。清水正孝元社長らに聞き取りを行った結果、「炉心溶融」などの言葉の使用について、当時の首相官邸や原子力安全・保安院から直接指示を受けたとする証言は確認されなかったとしました。
合同検証委は、東電の第三者検証委員会が昨年6月にまとめた報告書のうち、清水元社長が炉心溶融の隠蔽(いんぺい)を指示したとされる背景などを詳細に解明するため、東電社員らに再度聞き取りを行いました。清水元社長や武藤栄元副社長は今年4~5月に聴取しました。
山内康英委員長(多摩大情報社会学研究所教授)によると、清水元社長は事故2日後の2011年3月13日、官邸側から情報を共有するよう強く指示があったと証言しましたが、「炉心溶融」「メルトダウン」の言葉について、指示はなかったと説明しました。しかし、管直人元首相ら官邸側の聞き取りは実施していません。
合同検証委は年度内をめどに報告書をまとめるといいます。
(「しんぶん赤旗」2017年12月28日より)