原子力規制委員会と東京電力は1月10日、東電福島第1原発の敷地境界付近の放射線量が、汚染水をためるタンクなどの影響で、廃炉に向けた実施計画の基準「年1ミリシーベルト未満」の8倍に当たる8ミリシーベルトに上り、試算した100カ所中、基準を超えたのが15カ所だったことを明らかにしました。このため規制委は1ミリシーベルト未満の達成時期や対策を示すよう東電に求めました。
同日開かれた規制委の会合で、福島県の担当者が「住民の帰還の問題もある。1ミリシーベルトの約束が守れない状態で、いつまでに達成できるのかが見えない。歯止めをかけてもらいたい」と指摘しました。
東電や規制委によると、敷地境界付近にはストロンチウム90などの放射性物質を多く含む汚染水を保管したタンクが多数設置されています。ストロンチウム90などが出すベータ線がタンクの鉄板にぶつかるとエックス線が発生するため、この影響などで放射線量が上昇したといいます。
今後も、汚染水の増大や、がれきの撤去による廃棄物の貯蔵状況で、放射線量が増大する恐れがあるとしています。
福島第1原発の敷地境界の放射線量について、規制委の決定で「年1ミリシーベルト未満とすること」としています。また、この数値は、政府が2011年12月に発表した「収束宣言」の根拠の一つになっていました。