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原発新設の意見相次ぐ・・エネルギー基本計画見直し議論始まる

 経済産業省は8月9日、原発を「重要なベースロード電源」などと位置づけ、原発活用を宣言した2014年の「エネルギー基本計画」の見直しに向けた議論を始める有識者で構成する審議会を開きました。委員からは、原発の新増設やリプレース(敷地内の立て替え)を議論すべきだとする意見が相次ぎました。年度内をめどに取りまとめるといいます。

 政府は、前回の計画を受け、30年度の電源構成を原子力20〜22%、再エネ22〜24%、石炭26%などと決めています。

 「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」の冒頭、世耕弘成経産相は「目標に向けた取り組みは道半ば。計画の骨格は変える段階ではない」と述べました。

 会議では、担当の資源エネルギー庁が、電源構成の比率の状況や目標に向けた課題などを説明。16年度では原子力の割合が2%であり、目標に比べて「距離がある」とし、「原子力の最大の課題は社会的信頼の回復」などと報告しました。

 14人の委員が発言。現行の計画について「大幅に見直す必要はない」「見直さなければいけないことは見直すべきだ」などの意見がありました。

 原発の問題では、橘川武郎・東京理科大学教授は「原発は滞っている。リプレースの議論をしないと、原発の選択肢が日本から消えてしまう」と発言。豊田正和・日本エネルギー経済研究所理事長は「日本は原子炉を造る能力を早く回復する必要がある」と述べました。また、秋元圭吾・地球環境産業技術研究機構システム研究グループリーダーが「原子力の新増設は時間がかかる問題、逃げずに早めに議論を」といい、原発メーカーのIHI常務執行役員の水本伸子氏は「仕事がなければ人材がなくなる。原発のリプレースを選択肢として残すことを考えた方がいい」などとしました。

 一方、辰巳菊子・日本消費アドバイザー・コンサルタント・相談員協会常任顧問は、多数が再稼働に反対する世論調査などを引いて、「福島を直視して持続可能なエネルギーを基本に考えて」と述べました。

 経産省はこの審議会とは別に、50年までを見据えた、経産相主催の「エネルギー情勢懇談会」を設置。計画に反映させることがあるといいます。

(「しんぶん赤旗」2017年8月11日より転載)