東京電力は8月3日、福島第1原発4号機の近くにある地下水くみ上げ用の井戸の水位が急低下し、原子炉建屋の地下に滞留する高濃度汚染水の水位より低くなったと発表しました。水位の逆転は、汚染水が外に漏れ出す恐れがある異常事態で、確認されたのは今回が初めて。
東電は同日、運転上のルールを逸脱した状態だったとして原子力規制庁に報告。規制庁は立ち入り検査で確認作業を進めています。
水位低下は、4号機の原子炉建屋から南西に11メートル離れた井戸で2日午後6時半ごろ発生。約90秒で水位が2・2メートル下がり、建屋の滞留水より約1メートル低くなりました。井戸は自動停止し、水位は徐々に回復して20分余りで逆転状態が解消しました。
東電は当初、他の井戸の水位に変動がなかったため水位計の故障と判断。3日に水位計に異常がないことを確認し、実際に水位が下がったと結論付けました。広報担当者は「安易に計器の故障と判断したのはまずかった」と述べました。
水位低下の発生時、近くの別の井戸で穴を広げる工事を実施していましたが、関連は不明といいます。
東電は井戸水から放射性セシウムは検出されず、汚染水の漏出は確認されていないと説明しています。
(「しんぶん赤旗」2017年8月5日より転載)