関西電力美浜原発3号機の配管損傷・蒸気噴出死傷事故で9月10日、敦賀署の捜査本部は業務上過失致死傷の疑いで日本アームの若狭営業所(福井県大飯町本郷)を捜査員約30人で家宅捜査し、二次系配管の点検作業に関する資料を押収。同日中に捜査を終えました。
日本アーム(大阪市北区)は、三菱重工(東京都港区)から配管の点検業務を引き継いで設立された関電の子会社で、関電から配管の点検業務を請け負っていました。
三菱重工は1990年、関電と二次系配管の管理指針を作成。指針に基づき3号機の検査リストを作成しましたが、破損配管はリストから漏れていました。その後、96年に点検業務を日本アームに引き継ぎましたが、リスト漏れは続いたままでした。
三菱重工は他電力会社の原発点検データを基に、98年から2000年にかけ、破損部分と同じ流量測定装置の構成部品(オリフィス)下流部で配管内部が摩耗する「減肉」が起こりやすいことを日本アームに連絡しました。一方、日本アームは昨年4月、破損配管のリスト漏れに気付き、同年11月、今年8月14日からの定期検査で点検することを決め、計画書を関電に提案したと説明しています。破損配管の肉厚測定が1976年の運転開始以来28年間、一度も実施されていませんでしたが、関電は「リスト漏れの説明はなっかた」ので、検査漏れとは認識できなかったと主張しています。 今回捜査本部は、関電が昨年11月、日本アームからリスト漏れの連絡を受けながら重視せず、約9ヶ月間放置した事実の経過確認。さらに関電と日本アームが、配管の安全管理を怠ったことが配管の減肉を発見できず、今回の死傷事故を引き起こした責任を明らかにするとみられます。
捜査本部は、4日、5日両日にも関電美浜原発構内の関電事務所と日本アーム美浜作業所を家宅捜査し、段ボール440箱分の資料を押収。今回の段ボール34箱分を加えると、押収した資料は数千点にのぼるといいます。