友人の分も背負って・・宮城・石巻
宮城県石巻市では1月12日、市内6地区の成人式が開かれました。
会社員の今野竜也さんは「震災からの復興を、若い世代が中心になってやっていけるようにしたい。津波で亡くなった高校時代の友人の分も一つ背負って頑張りたいです」と語りました。
看護専門学校に通う鈴木美保さんは震災当時、避難中に津波に襲われる経験をしました。「震災のときは多くの人に支援してもらいました。看護師になって一人でも多くの人を笑頗にしたいです」
大学生の佐々木洋介さんは「以前から公務員志望でしたが、震災に遭い、ますますその気持ちが強くなった」といいます。「震災は、悲惨な出来事でしたが、貴重な経験でもありました。地方行政が無いと大変なことになる。公務員になって地元の人のために働きたい」
「将来は地元で働いて復興に役立ちたい」と語るのは小山春香さんです。「震災当時は大変でしたが、友達も無事で、こうして20歳を迎えられたことがうれしい」と笑顔で話しました。
将来は地元支えたい・・岩手・釜石
岩手県釜石市で12日に行われた成人式では、市民ブラスバンドがテレビドラマ「あまちゃん」のテーマ曲などを演奏して新成人を迎えました。
4月から市職員として釜石市に戻ってくる小澤蒔生里(しおり)さんは「育ってきた町の姿が、東日本大震災によって一瞬で変わってしまいました。早く復興を実現し、市民の力になれればいいなと思います」と語りました。
柔道整復師の専門学校で学ぶ永井将吾さんは「おとならしい言動ができるようになりたい」と語ります。「いま国家試験に向けて勉強中です。将来は地元に帰ってきて微力ながらも釜石を支えたい」と話しました。
式典で、新成人を代表して抱負を発表した岡田剛志さんは、現在市内で働いています。「まだ成人としての実感はあまりありませんが、仕事の上での責任を感じるようになりました。会社の人たちと一緒に海岸の清掃など地域のボランティアにも参加しています。少しでも復興の力になれればと思っています」と決意を述べました。
浪江で迎えたかった・・福島・二本松
12日、二本松市で成人式を迎えた福島県浪江町の成人たち。式典では馬場有町長が「あの美しい故郷を忘れないで、若い限りない力と、果敢に挑戦する行動力をもって、ぜひ『町の再興』にかかわっていただきたい」と、新成人に復興を託しました。
二本松市内の仮設住宅に祖母と暮らしている大浦文香さんは「仮設は寒い。友達とは高校2年生のときにバラバラになり、両親とも別々の生活。一緒に暮らしたい」と、心情を語ります。
栃木県から駆けつけた掃部関(かもんぜき)裕さんは「医療関係の勉強をしています。復興に生かすことができればと思っています」。
「浪江で成人式を迎えたかった」と話すのは二本松市内で避難生活を送る会社員の女性です。「3年ぶりに皆と会えました。原発でこんなことになるとは思ってもいませんでした。今になると原発は廃炉にして再稼働はやめたほうがいいです」と語っていました。
福島の子がスキー・・長野・飯山 地元教師らが主催
冬の信州で1月12日、福島県から来た子どもたちがスキーなどを思いっきり楽しむ「のびのびタイム」が行われ、笑顔と歓声がゲレンデに広がりました。会場となった戸狩温泉スキー場は長野県飯山市にあり、前日、10時間近くかけて福島、いわき、郡山の各市から6家族21人が訪れました。
専門家の指導を受けて、子どもたちも少しずつ滑れるようになりました。小学2年の男児(7歳)は「もっと上手になりたくて」と喜びます。
スキーは初めての2歳から6歳の子ども3人と、夫婦で参加した会社員の男性(40)=いわき市=は、「十分楽しんで帰りたい」と張り切ります。気がかりは避難者のこと。「自分の家に帰れない人がまだまだいます。早く住める環境にしてほしいですね」と話しました。
取り組んだのは、長野県高等学校教職員組合です。大震災・原発事故後に抱える、目に見えない不安やストレスを緩和できればと発案。地元の観光協会も宿泊あっせんなど、全面的に協力しました。
飯山市出身で長野高教組の丸山大樹(ひろき)さんは「今後も福島や東北支援を、さまざまな形で続けます」と話しました。