【パリ=浅田信幸】アニメ映画の宮崎駿監督が1月11日付の仏紙リベラシオンに掲載されたインタビューで、「もっと公正な社会を切望する」「五輪よりも被災地福島支援にもっと力をそそぐべきだ」と語りました。
監督は福島原発事故について「放射能汚染地域で暮らす人々の運命を分かち合う必要」を強調。「日本は2020年の五輪よりも福島にすべての努力と資力を集中すべきだと思う」と述べています。
今の日本社会について問われ、「文明の意味を再定義すべき歴史的な瞬間にある」と指摘。「政府はお金をたくさん刷って、日本が全く必要としないバカげたことに論議を引きつけ、緊急の問題から私たちをそらせている」と安倍政権を批判しました。
また自作のアニメ映画「紅の豚」のテーマ曲「さくらんぼの実る頃」に言及して自身の欧州文化志向を肯定。この曲がパリ・コミューン(1871年、世界で初めて誕生した労働者による政府)や監督自身の共産主義への親近感にもかかわっているのではと問われ、「私は常にもっと公正な社会を切望している。マルクスが定式化した共産主義の理想に影響を受けている」と述べています。
宮崎監督の最後の長編作品「風立ちぬ」はフランスで今月22日に劇場公開されます。リベラシオン紙は1面から8面までを使い、監督の作品紹介や論評を含めた大特集を行っています。