東京電力福島第1原発3号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の状況を把握するため、東電は7月19日から、原子炉格納容器内に水中ロボットを投入し調査を始めます。調査は2回に分けて実施し、2回目は21日の予定。
3号機格納容器には、底から約6・4メートルの高さまで放射能汚染水が滞留しているため、水中を遊泳できるロボットを投入します。
1回目(19日)は、圧力容器を支える台座の内部への入り□付近までロボットを進め、カメラで撮影。2回目(21日)は、台座の内部にロボットを入れた上で、作業用の足場の溝を通って、デブリがあると考えられる地下階を目指します。
ただ、圧力容器直下は、制御棒を動かす装置が落下し、作業用の足場が損傷しているとみられるため、2回目の調査範囲や進入ルートは、1回目の調査結果を踏まえて判断します。
ロボットは長さ約30センチで、重さ約2キロ。前後にカメラを搭載し、五つのスクリューで推進、昇降します。ケーブルがつながっているため、構造物との接触を避けながら進むには、困難が予想されます。
廃炉作業 状況把握が焦点
3号機原子炉格納容器内部の本格的なロボット調査は初めてです。これまでの1、2号機のロボット調査ではデブリを確認できていません。廃炉作業に不可欠なデブリの状況把握ができるか焦点です。
これまでの調査や解析により、3号機の核燃料の大半は圧力容器から溶け落ちたと考えられています。国際廃炉研究開発機構(IRID)などのまとめによると、3号機のデブリは約360トン。このうち約210トンが圧力容器を支える台座の内側に、約130トンが外側に分布していると推定。しかし、不確かさが大きいため全容はつかめていません。
デブリは、核燃料のほか構造材などが溶けて混ざり、凝固しているとみられます。しかし、大きさや形、硬さなどの性状は分かっていません。
国と東電は今年、1~3の各号機ごとにデブリ取り出しの大まかな方針を決めます。放射性物質の飛散防止のため格納容器を水で満たしデブリを取り出す「冠水工法」や、気中に露出した状態で取り出す「気中工法」などが考えられています。
デブリの状況の把握なしには、廃炉作業は進められません。どれだけ多くの情報を得られるか、ロボット調査は重要な工程です。(唐沢俊治)
(「しんぶん」赤旗2017年7月19日より転載)