「海洋放出」方針・・東電が報道否定 福島第1汚染水
東京電力福島第1原発のタンクに大量にためられているトリチウム(3重水素)を含む放射能汚染水の処分方法について、東電の川村隆会長が海洋放出の方針を明言したなどとする一部報道をめぐり、東電は7月14日、「最終的な方針を述べたものではない」とするコメントを発表しました。
コメントは、最終的な方針決定にあたっては安全面だけでなく、安心や復興推進などにも配慮する必要があるとして、「国や地元と慎重に検討を進める」としています。
トリチウム汚染水の処分方法をめぐっては、国の放出基準まで薄めて海に放出する案などが議論されており、現在も、国の汚染水処理対策委員会の小委員会が「風評被害」など社会的観点から検討中。東電は、国の方針を踏まえた上で決定するとして、これまで方針を示していません。10日に開かれた原子力規制委員会では。「主体性が見えない」と東電に態度表明を迫る意見が相次いでいました。
規制委側は、早く海洋放出するよう主張。一方、福島県漁連をはじめ漁業関係者などは、海洋放出に強く反対しています。
放射能汚染水を処理しても除去できない高濃度のトリチウムを含む汚染水量は現在、約77万8000トンです。
(「しんぶん」赤旗2017年7月16日より転載)
東電福島第1原発 この1週間
■7月12日 3号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の状況を把握するための原子炉格納容器内部調査に向け、水中ロボット投入口に設置された水位計と温度計の取り外しが完了しました。
■同日 南西側の敷地境界付近にある、空気中のほこりなどに含まれる放射性物質を測定する監視装置「ダストモニタ」で、放射能濃度の上昇を示す高警報が発生。東電は、天然核種ビスマス214の影響とみています。
■同日 原子力規制委員会が、事故処理に関する「リスク低減目標マップ」を改定。労働環境改善の課題がすべて終了したと評価しました。
■13日 港湾内の魚類の出入りを抑制するため設置している、港湾口のブロックフェンス(延長90メートル)のうち、北側の約45メートルの補修工事が完了しました。今年3月、転倒や移動が確認されました。昨年11月に発生した福島県沖の地震による津波の影響とみられます。
(「しんぶん」赤旗2017年7月16日より転載)