「今後50年」で
日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で作業員5人が被ばくした事故で、量子科学技術研究開発機構は7月10日、内部被ばく量の評価結果を公表しました。5人のうち事故直後から被ばく量が多いと分かっていた男性は、内部被ばくが50年続いた場合で100ミリシーベルト以上200ミリシーベルト未満と評価しました。
量研機構の明石真言執行役は記者会見し、「100ミリシーベルトの被ばくは、1000人のうち、がんになる人が5人増えるリスク」と説明しました。ただ、この数値は体内に取り込まれたプルトニウムなどの放射性物質による内部被ばくが50年続いた場合であり、放射性物質を排出する薬剤の治療効果があれば被ばく量は下がるとの見方を示しました。
残る4人は、10ミリシーベルト以上50ミリシーベルト未満が2人、10ミリシーベルト未満が2人。東京電力福島第1原発事故では100ミリシーベルト以上の被ばく者が多数出ています。
作業員らは量研機構の放射線医学総合研究所(千葉市)で治療を受けています。被ばく量は主に便に含まれる放射性物質の量から評価し、本人の了承を得て、具体的な数値を伏せたまま公表されました。
原子力機構は事故直後、作業員の肺からプルトニウムが最大2万2000ベクレル検出され、50年間の内部被ばく量は12シーベルトに達するとの試算を公表。測定時の除染が不十分で、体表面の汚染を含む数値だったことが判明しています。
(「しんぶん」赤旗2017年7月12日より転載)