晴男 東芝の株主総会は批判が相次いだって。
のぼる 会場では「お土産、お弁当はご用意しておりません」とプラカードが出ていた。弁当が出なかったからかな。
晴男 空腹だから怒ったわけじゃないよ。弁当がなくなったのは2015年からだ。
のぼる 不正会計が発覚した年だね。
晴男 それを機に経営成績を示す決算報告を計5回も延期している。株主にとっては一大事だ。
泥沼の訴訟合戦
のぼる 東芝は米原発事業で巨額な損失を出した。東芝経営陣が損失を認識した時期について、監査法人との対立が埋まらないのが決算延期の理由と聞くね。
晴男 米原発事業をめぐっては徹底した調査が必要だ。5816億円にのぼる債務超過に陥っているわけだからね。
のぼる 目が回るような数字だ。東芝は債務超過を解消しようと「稼ぎ頭」の半導体事業の売却先選びをしている。
晴男 でも売却は難航しているんだ。東芝は官民ファンドの産業革新機構を軸とする日米韓連合と優先的に売却交渉をしていた。だけど提携相手の米半導体メーカーが売却は契約違反として訴訟を起こした。東芝は訴訟の差し止めを求めて反論書を裁判所に提出して対抗姿勢を強めている。
のぼる 泥沼の訴訟合戦だね。そもそも粉飾決算を起こした企業を公的資金で救済するのは、おかしい。
晴男 東芝救済のために公的資金から6000億円規模の出資を検討しているという。非常に大きな金額だ。
生活に困る社員
のぼる 忘れてはいけないのは、この問題の最大の犠牲者は労働者と取引企業ということだね。
晴男 そうだ。賃金が下がり「生活できなくて困っている」と訴える社員や退職者も出ている。
のぼる 具体的な再建計画が示されない中で、先行きが見通せないと将来を不安視する声が上がっているそうだ。
晴男 東芝は大企業だけあって、かつて2万社を超えていた取引企業も4割減少してしまった。
のぼる 影響は深刻だ。株主総会では「東芝リストラ会議」が会場付近で宣伝をしたね。「原発の失敗のツケを労働者と取引企業に回すな」つて。
〔2017・7・11(火)〕
(「しんぶん」赤旗2017年7月11日より転載)