日本原子力研究開発機構は6月19日、大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で、核燃料物質の点検作業中に作業員5人が被ばくした事故を受けて、事故経過などに関する法令報告を原子力規制委員会に提出しました。
提出後の会見で、同機構の児玉敏雄理事長は、地元に不安を与えたとして謝罪。「危機への感度や危険予知能力に問題があった」と述べ、「背景にあると思われる機構組織や職員の意識の問題にもあらためて手を入れなければならない」と話しました。
(「しんぶん」赤旗2017年6月20日より転載)
尿からプルトニウム・・原子力機構5作業員内部被ばく
日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で作業員5人が被ばくした事故で、放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)は6月19日、5人全員の尿からごく微量のプルトニウムが検出されたと発表しました。放医研は「内部被ばくがあった」と説明。尿などの検査を続け、1ヵ月ほどかけて被ばく量を推定します。
原子力機構は事故翌日の7日、1人の肺から2万2000ベクレルのプルトニウム239が検出されたと発表しましたが、5人が搬送された放医研の検査では検出されませんでした。放医研は、より高い感度で検出できる尿などを調べていました。
その結果、5人全員の尿から、ごく微量のプルトニウム239と238、アメリシウム241が確認されました。被ばく量は引き続き調べますが、放医研の上部組織・量子科学技術研究開発機構の明石真言執行役は記者会見で「症状が出る線量にはならないと推定している」としつつ、「国内で知っている限りでは大きい方かもしれない」と述べました。
5人は13日に放医研を退院しましたが、18日に再入院しました。前回入院時に使った放射性物質を排出する薬剤に効果があったため、19日から5日間投与する予定。5人の健康状態に変化はないといいます。
(「しんぶん」赤旗2017年6月20日より転載)