【パリ=島崎桂】スイスで5月21日、原発の新設禁止などを盛り込んだ新エネルギー法の是非を問う国民投票が行われ、賛成が58・2%を得票、賛成多数で将来的な脱原発方針を承認しました。
「エネルギー戦略2050」と題する新法は、原発の新設禁止と併せ、再生可能エネルギーの拡大や電力消費の削減を企図。現存する原発5基については安全性が保証される限り稼働を続けるとしていますが、1972年に稼働開始した首都ベルン近郊のミューレベルク原発は2019年中の閉鎖が決まっています。
環境・運輸・エネルギー・通信相を兼務するロイトハルト大統領は結果判明後の会見で、「結果は、国民が新しいエネルギー政策を求め、もう新たな原発は求めていないということを示した」と強調しました。
環境政党・緑の党は声明で、今回の結果は「脱原発とエネルギー移行への賛成だ」と歓迎。同時に、「全ての問題が解決したわけではない」として、「今後は老朽化した原発を早急かつ安全に閉鎖し、気候を保護する必要がある」と訴えました。
スイス政府は2011年、東京電力福島第1原発事故を受け、脱原発方針を決定。昨年9月に議会が同法を承認しました。ただ、保守系の最大与党・国民党が電気料金高騰への懸念から反対署名を進め、今回の国民投票が決まりました。
同国は温室効果ガスの排出削減にも積極的で、排出量を2030年までに1990年比で50%削減するとの世界最高水準の目標を掲げています。
(「しんぶん」赤旗2017年5月23日より転載)