東京電力福島第1原発事故を踏まえ、韓国の原子力の専門家が5月20日までに、韓国の原発で使用済み核燃料の火災を伴う事故が起きた場合の被害規模を試算した。気象次第で放射性物質が日本の広範囲に飛来し韓国以上の甚大な被害が出て、日本で最大2830万人が避難を余儀なくされる恐れを指摘した。
試算した米シンクタンク、天然資源保護協会(NRDC)の姜政敏(カンジョンミン)上級研究員は「地震や津波などの自然災害だけでなくテロや北朝鮮のミサイル攻撃が事故につながる事態も排除できない」としている。
韓国南部釜山市にある古里原発3号機で、使用済み燃料プールの冷却機能が失われて火災が発生し放射性物質セシウム137が大量に放出されたと想定。2015年1月〜12月の気象条件での被害を調べた。
15年1月の気象条件では、西から東に吹く偏西風の影響で、西日本を中心に日本の最大6万7千平方キロメートルが放射性物質で汚染され、最大2830万人に避難が必要になる可能性がある。各都道府県の被害など詳細は不明だが、姜氏が作成した図解では、山口県から四国、紀伊半島まで帯状に、地表のセシウム濃度が1平方メートル当たり200万ベクレル以上の被害地域が広がる。9月の気象条件では、最大で韓国の国土の半分以上に当たる5万4千平方キロメートルが汚染され2430万人が避難。日本の首都圏に近い地域や東北にも被害が及ぶ。
(「福井新聞」2017年5月21日より転載)