福島3号機 宇宙線で“透視”・・デブリ把握ヘ
東京電力福島第1原発3号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の位置の把握に向けて、東電は4月24日、高エネルギー宇宙線を使った透視技術による内部調査を5月に実施すると発表しました。東電が記者会見しました。
同調査は、2015年に1号機で、2号機では16年に実施。今回、4月中に装置を設置し、5月から数カ月かけて測定する計画です。
宇宙から降り注ぐ素粒子「ミュー粒子」は、デブリのように密度の高い物質にさえぎられる性質があるため、圧力容器内の物質量の大まかな位置を把握することができるといいます。
3号機の核燃料の状態について東電は、解析などから、大半が圧力容器の底から抜け落ちて、格納容器の底部でデブリを構成しているとみています。
記者会見で東電は、格納容器の底部はミュー粒子による調査の範囲ではないとしながら、「核燃料が圧力容器内部にどれだけ残っているのかを知ることは、デブリの取り出しに向けた重要な情報となる」と語りました。
3号機では今年、ロボットによる内部調査を実施する計画。また、1〜3号機のそれぞれについて、デブリ取り出しの大まかな方針を決める予定です。
(「しんぶん赤旗」2017年4月25日より転載)
廃炉研究の拠点が完成・・福島・富岡町
東京電力福島第1原発の廃炉に必要な研究開発や人材育成の拠点として、日本原子力研究開発機構の廃炉国際共同研究センター「国際共同研究棟」が福島県富岡町に完成し、開所式が4月23日行われました。
東電は事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)を取り出すため状況把握を急いでいますが、原子炉内は放射線量が非常に高く、作業は難航しています。
完成した国際共同研究棟では、デブリにレーザーを照射して成分を調べる技術を開発したり、核燃料と制御棒を溶かす模擬実験で事故過程を推定したりして課題の解決を目指します。
廃炉国際共同研究センターの小川徹センター長(元長岡技術科学大学教授)は「福島第1原発に近く、現場の情報にすぐアクセスできる。溶融金属の分析は冶金(やきん)学、ロボットの放射線対策は半導体など、さまざまな分野の専門家と一緒に研究を進める」と報道陣に説明しました。
(「しんぶん赤旗」2017年4月25日より転載)