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「活断層の可能性」・・専門家ら火山灰分析/柏崎刈羽原発敷地

東京電力・柏崎刈羽原発(新潟県)

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の敷地内の断層評価をめぐり、同県内の地質学者らでつくる「柏崎刈羽原発活断層問題研究会」(大野隆一郎代表)が発表した調査結果が、「活断層ではない」とする東電の評価やそれを了承した原子力規制委員会の審査のあり方に疑問を投げかけています。

東電の評価に疑問

 規制委は昨年(2016年)2月、6、7号機の再稼働の前提となる審査で、敷地内に活断層はないとする東電の評価を「おおむね妥当」と了承しています。

 敷地内には23本の断層があり、東電は、約20万〜30数万年前の地層だとする「古安田層」が堆積して以降に活動した痕跡はなく、活断層(12万〜13万年前以降に活動)ではないとしています。この地層の年代推定に使われたのが、「刈羽テフラ」と呼ばれる火山灰。東電は、下北半島沖の火山灰と対比できるから「降灰年代は20万年から23万年前」と評価しています。

 研究会が発表したのは、その火山灰の分析結果です。東電から提供を受けた刈羽テフラの試料と、研究会のメンバーが1990年代に柏崎市で確認した12万〜13万年前の地層に分布しているとする火山灰「藤橋40」の試料を新潟大学の機器で分析したところ、成分が一致したといいます。

 研究会は、刈羽テフラは12万〜13万年前に堆積した可能性があると評価。東電が活断層を否定する根拠にした刈羽テフラの降灰年代、それらをもとにした敷地内断層の活動年代は「地質学や地形学で広く認められてきた科学的推論とは大きく異なり、東電の推論、規制委の妥当判断は科学的とは言えない」と指摘します。

 規制委は4月19日の記者会見で研究会の発表への対応を問われ、小林勝・耐震等規制総括官は「刈羽テフラだけでなく複数のテフラを用いて『活動性はない』と評価し、特段の論点は残っていない」とし、東電に対し「ヒアリングで事実確認はしておきたい」と述べました。

 東電はホームページで「評価結果については、規制委の審査会合にて、おおむね妥当と評価いただいている」などと、コメントを発表しています。

全面的見直しを・・研究会メンバーで新潟県の技術委員会委員、立石雅昭新潟大学名誉教授の話 

 研究会は昨年1月にも、東電の公表資料から藤橋40と刈羽テフラが同一の可能性があると指摘し、規制委に検証を求めていたのです。規制委がそうした指摘に真摯(しんし)に向き合っていないことが問題です。これまでの調査・解析結果を全面的に見直すよう、申し入れたい。

(「しんぶん赤旗」2017年4月21日より転載)