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福島原発事故の避難解除・・飯舘村民の思いは & 東電福島第1原発 この1週間

 政府は東京電力福島第1原発事故による避難指示を今春、福島県4町村で解除しました。福島市で避難生活を送る、避難指示が解除された飯舘村民の思いは―。

娘の健康が心配です

 高橋和幸さん(43)

 帰還に向けた説明会で、住民合意はあるのか、放射線の危険をどう考えるのか、と質問しましたが、答えは返ってこなかった。

高橋和幸さん(43)

 村でおやじと林業をやっていました。原発事故が起こった2011年3月の前月に、有り金はたいて60町歩の山を買った。原発事故で汚染されてパーですよ。賠償判断が難しく、わずかしか出なかった。

 9歳の娘の甲状腺がんが心配です。政府は「チェルノブイリより被害は小さい。100ミリシーベルト以下のリスクは分からない」と繰り返すばかり。私らは、がんの不安を一生抱えていかなくてはいけない。訴訟を起こしたい気持ちだ。除染したというけれど、村の8割を占める森林は手付かずですよ。風や雨で放射性物質が下りてくる。どうするんですか。

 私は村には帰らないが両親は帰ります。村の野菜も食べる。それを私は否定しません。年齢のこともあるし、好きにやるのがいいと思う。

 確実に安全だということが示されるなら、本当をいうと、私も村に帰って、おやじと一緒に林業をしたい。

ワインの里にしたい

長谷川芳博さん(47)

 長谷川芳博さん(47)

 地域の実情も違うのに、まとめて年度末に避難指示解除なんておかしいでしょ。除染廃棄物の入ったフレコンバックの最後の1個がなくなってから解除でしょ。国がスケジュールを決めて、村も動く。

 飯舘村は気温が低すぎるので、冬の間は福島市で農業を続けてきた。原発事故が起きて、飯舘村の分はもちろん、福島市での作物も取引は中止された。販路はいったん切られると戻りません。農業はもともと、仕事も経営もきついから、かなりの農家が原発事故を機にやめていった。

 でも、おれは農業のパイオニアになりたい。福島市でがんばる。今は総敷地40アールくらいのビニールハウスでキュウリをつくって、黒字が出るようになった。「農業はかっこ悪い」といわれて、離婚したことがあってね。農業で成功して子どもに見せてやりたい。

 仲間ととりかかっているのは、飯舘村にワイナリーエ場をつくること。ブドウは実がつくまで5年かかる。8年後には工場をつくりたい。放射能のこともだいぶ忘れられるでしょう。飯舘村をワインの里にするのが夢です。

(「しんぶん」赤旗2017年4月12日より転載)


東電福島第1原発 この1週間

■4月1日 1~4号機原子炉建屋の山側などを流れる排水路の水の放射線量を監視するモニター(試験中)で、指示値が上昇。その後の調査で、測定上の不具合だと分かりました。

■3日 2号機タービン建屋の復水器内に事故当初からたまっている高濃度の放射能汚染水を処理するため、集中廃棄物処理施設プロセス主建屋に移送を開始。約750トンの汚染水のうち420トンを1ヵ月程度かけて移送します。残り約330トンは、別途計画。汚染水に含まれるセシウム137の濃度はIリットル当たり約5億ベクレル。

■5日 6号機タービン建屋の地下1階で、仮設照明につながっているケーブルドラムから発煙。ケーブルドラムのコンセントを抜いたところ、発煙は止まりました。浪江消防署は「火災ではない」と判断。

■6日 東京電力は、1、2号機排気筒(高さ120メートル)に、新たな破断箇所が臨時点検で見つかったと発表。同排気筒では2013年に破断や変形が計8ヵ所見つかったほか、鋼材の腐食による強度不足も指摘されており、地震などによる倒壊の危険性が懸念されています。新たに見つかったのは、高さ45メートル付近にある斜材接合部。1、2号機タービン建屋屋上から望遠カメラで撮影しました。

■同日 1号機格納容器にたまった汚染水の底から、粉状の堆積物を10ミリリットル程度採取しました。金属部品のさびや、剥がれた塗料が含まれるとみられ、東電はX線による簡易検査を実施して成分を分析します。3月31日にも採取しましたが、堆積物が微量で成分を解明できませんでした。

■同日 敷地南端の境界付近で空気中のほこりなどに含まれる放射性物質を測定する監視装置「ダストモニター」が、放射能濃度の上昇を示す「高警報」を発生。その後、機器の異常と判断し交換しました。

■10日 1~4号機建屋周囲の井戸(サブドレン)からくみ上げた汚染地下水を浄化する設備の金属製ホースから、処理途中の地下水が滴下。水は堰(せき)内の約1・5メートル×8メートルの範囲に広がり深さは1ミリ。ポンプを停止し、滴下は止まりました。水の表面線量は、空間線量と同等。同型ホースは昨年から漏えいが相次いだため、ゴム製ホースに交換する計画です。

(「しんぶん」赤旗2017年4月12日より転載)