原発被害救済ヘー歩・・前橋地裁判決 到達と課題を討論
東京電力福島第1原発事故の避難者らが起こした群馬訴訟で、国と東電の損害賠償責任を認めた前橋地裁判決(3月17日)の解説などをしたシンポジウム「福島原発事故賠償訴訟の現段階と課題」が3月2日、都内で開かれました。日本環境会議と全国公害弁護団連絡会議の共催で、約200人が参加しました。
同様の訴訟は全国で30件近くあり、1万2000人以上が原告で参加しています。
全国公害弁護団連絡会議の鈴木尭博代表委員は「前橋地裁判決は、国の法的責任を認める点で大きな意味を持つ。一方で、原告137人のうち72人の請求を棄却し慰謝料も非常に低いという問題を残した」と指摘。判決の到達点と問題点を分析して「原発被害の救済へ重要なステップに」とあいさつしました。
群馬訴訟の鈴木克昌弁護団長は、「認定金額が低すぎる」として3月31日に70人が控訴したと報告。国と東電が控訴したことに触れて「困難に直面している被害者を、さらにむち打つものではないのか。国や東電は判決で認定された責任を受け止め、賠償や支援の責任を果たすべきだ」と強調しました。
判決の被害・損害論や責任論について吉村良一立命館大学大学院教授と下山憲治名古屋大学大学院教授がそれぞれ解説し、問題提紀しました。
この後、判決が迫る訴訟など各地の弁護団が報告し、参加者と討論しました。
(「しんぶん」赤旗2017年4月3日より転載)
東電福島第1原発 この1週間
■3月24日 東京電力は、原発事故当時に原子力部門などに所属していた社員ら約4000人を対象にしたアンケート結果を報告。1730人が「『炉心溶融』に至っている号機があると思っていた」と回答したことが分かりました。
■30日 東電は、2号機原子炉格納容器内部を1月末に撮影した画像を詳しく解析した結果、圧力容器直下の作業用足場がなくなっている箇所が新たに判明したと発表。足場がなくなっている上部では、制御棒を動かす装置のケーブルが損傷。一方、足場が残っている箇所の上部は、ほぼ原形をとどめています。足場がなくなった箇所の底部から、湯気が上かっているのを確認しました。
■同日 東電は、放射能汚染水増加の原因である地下水の建屋流入量について、3月は1日当たり平均約120トンだったと発表。国と東電は、2016年度末までに1日当たり100トン未満に抑制する目標を掲げていました。流入量は14年時点で同400トン程度でした。
■31日 1号機原子炉格納容器内部調査で、底部の滞留水をホースで吸い取り、100ミリリットルの容器に採取しました。含まれている浮遊物の成分を分析します。
■同日 1号機建屋カバーの柱とはりの取り外し作業を開始。東電によると、放射性物質濃度を監視しているダストモニタや敷地境界に設置してあるモニタリングポストに有意な変動はないといいます。
(「しんぶん」赤旗2017年4月3日より転載)