政府が廃炉を含めた抜本的な見直しを進めている日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、配管などに残っている放射性物質を含むナトリウムが約760トンに上ることがこのほど、原子力機構への取材で分かりました。
通常の原発は水で原子炉を冷却しますが、もんじゅはナトリウムで冷やします。ナトリウムは空気や水に触れると激しく燃えるため、扱いが難しくなります。
原子力機構によると、もんじゅにあるナトリウムは約1670トン。うち760トンは核分裂反応が起きる原子炉内部などを循環していたため、放射性物質を含んでいます。廃炉になった場合、ナトリウムを抜き取らないと解体が進みません。
もんじゅで使われたウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の処分も課題になります。約21トン発生すると見込まれますが、国内では処理できません。海外に委託して燃え残ったウランやプルトニウムを取り出し、残った高レベル放射性廃棄物も含めて返還を受ける方法が考えられます。
ただ、原子力機構がもんじゅの廃炉費用として試算した約3000億円の中に、海外への処理委託費は含まれていません。
(「しんぶん」赤旗2016年11月11日より転載)