塩崎恭久厚労相は12日の衆院予算委員会で、九州電力の求めに応じて、原発再稼働審査のための電力会社の業務を残業時間の適用除外とする通達を出したことを認めました。日本共産党の高橋千鶴子議員の追及に答えたもの。高橋氏は、安倍内閣が掲げる「『働き方改革』の看板に“偽りあり”が明らかになった」として、適用除外規定を見直し、残業の上限を法定化するよう求めました。(論戦ハイライト)
厚労省は「残業時間限度基準」として、「月45時間」「3カ月120時間」「年360時間」までとする大臣告示を出しています。しかし、「公益上の必要」があれば労働基準局長が適用除外できると定めており、2013年に原発再稼働審査のための業務を指定する通達が出されていました。
高橋氏が「誰から要望され、誰が決めたのか」とただすと、塩崎厚労相は「電力会社から要望があって、当時の労働基準局長が通達を発出した」「(要望した電力会社は)九州電力だ」と答弁。安倍晋三首相は「公益上の必要性、集中作業が必要とされる」と答えました。
高橋氏は、残業時間の規制を外してまで再稼働の審査を急がせる「公益性」などないと指摘。「労働時間をいくら規制しても、通達ひとつで除外されるなら、どこまでも広がる」として、会社のいいなりに長時間労働を強いた安倍内閣の姿勢を批判しました。
さらに、高橋氏は、「残業時間限度基準」を超えた協定を結ぶことができる「特別条項」付き三六協定=残業時間に関する労使協定=が青天井の残業を許している実態を告発。大手広告代理店「電通」の新入社員が過労自殺した事例もあげながら、「(法律で)残業時間に上限を設けることが必要だ」と迫りました。
塩崎厚労相は「働き方改革実現会議で議論を進めて実効性のある対策を取りまとめる」と述べるにとどまりました。
(「しんぶん赤旗」2016年10月13日より転載)