三反園訓鹿児島県知事の誕生後の変化を追いました。 (鹿児島県・山口美咲恵、打保哲広、原田浩一朗)
10月3日夕、川内原発のゲートを通って、敷地内に入る大型観光バスが何台も続きました。大量の職員、作業員を動員した定期検査をするためです。
県知事選では、川内原発が立地する薩摩川内市でも、三反園氏の得票が現職候補の得票を7票上回りました。雨の中、つじ立ちして三反園氏を応援した川畑清明さん(60)=市内山之口町自治会長=は「県のトップである県知事が、九電に物申す姿を示したことで、住民も原発について意見をいえるのだという雰囲気が生まれた」と語ります。
「4月に起きた熊本地震の衝撃も大きかった」というのは、市内で動物病院を開き、原発に反対して地域おこしの活動を続けてきた桑原貴久雄さん(「薩摩川内の未来を考える会」座長)です。地震による原発事故が起きれば、逃げ場がなくなることが実感されたといいます。
市内のグループホーム燦々(さんさん)を訪ねると、車いすにのったお年寄りが数人テレビを見でいました。寝たきりのお年寄りもいました。
経営者の藤田啓子さん(76)が話します。「車いすの人や寝たきりの人を車に乗せるには、職員2、3人で介助します。すごく時間がかかります」
原発事故が起きたときの、県が策定した避難計画で避難先に指定された施設にいって驚きました。「要支援者を運んで、モノのように置くだけの避難計画でした。人間としての食事、入浴、排せつのことは、市も県も一切考えていなかった」と憤り、「定期検査を機に、そのまま稼働停止にするべきです」と力を込めました。
三反園知事は知事選のマニフェストで「熊本地震の影響を考慮し、川内原発を停止して施設の点検と避難計画の見直しを行う」と公約しています。
県議会の内訳は、定数51のうち、自民が37議席を占め、原発にたいする立場では、再稼働推進派が41人、反対派10人です。
日本共産党の、まつざき真琴県議は「知事に公約を実現させるためには世論と運動を広げることが重要です」と強調します。
11月13日に鹿児島市内で開く「川内原発は二度と動かさない さよなら原発! 全国集会」(ストップ川内原発!3・11鹿児島実行委員会主催)の大成功を呼びかけています。
■川内原発をめぐる最近の動き
2011年5月10日 1号機が定期検査に入り停止(2号機は9月1日)
2014年9月10日 1、2号機が新規制基準に「適合」
2015年8月11日 1号機が再稼働(2号機は10月15日)
2016年4月14日 熊本地震が発生(本地は4月16日)
7月10日 三反園訓知事が当選
8月26日 三反園知事が即時停止と再点検を要請(九電が9月5日に拒否回答)
9月7日 三反園知事が再要請(九電が9日、再度拒否回答)
10月6日 1号機が定期検査に入り停止(2号機は12月16日)
(「しんぶん」赤旗2016年10月7日より転載)