経済産業省は10月5日、財界人や学識者らで構成する「東京電力改革・1F問題委員会」(略称・東電委員会)の初会合を開きました。東京電カホールディングス(HD)の「経営改革」とともに、東電が負担する福島第1原発の廃炉費用の支援のあり方などの検討に着手し、年内をめどに提言案をまとめる方向です。事故の収束すらほど遠く、廃炉費用がどこまで膨らむのかの見通しも立たないのに、廃炉費用の負担を国民に押しつけることに批判が強まることは必至です。
委員長に選任された伊藤邦雄一橋大大学院特任教授は会合であいさつ。同委員長によると、オブザーバー参加した東電HDの広瀬直己社長からは「国の救済措置を受けることなく、福島の責任を全うしたい」との発言があったといいます。
福島第1原発の廃炉・汚染水対策の必要額は、東電が自ら負担する予定の2兆円を上回る可能性が高まっています。事故の賠償や除染の費用も国が設定した融資枠の9兆円を超えるのが確実で、政府は支援拡充の検討が必要と判断したとしています。
会合では国による廃炉費用支援の是非や、支援する場合、どのような形で国民負担を求めるかが焦点となります。
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同省の別の作業部会も同日、初会合を開き、原発の廃炉費用について、すべての国民に負担を求める仕組みを検討する議論を始めました。
新たな仕組みとして、大手電力会社の送電網を使う時に支払う「託送料金」に上乗せして廃炉費用を回収する制度が想定されています。この場合、4月に始まった電力自由化で新たに参入した電力会社(新電力)も費用負担を強いられます。託送料金は今も、家庭向け電気料金のうち、3~4割を占めています。
(「しんぶん」赤旗2016年10月6日より転載)