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「甲状腺がん地域差ない」・・福島医大 & 甲状腺がんなど支援の基金設立

「甲状腺がん地域差ない」・・福島医大

 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センターの大平哲也教授らのグループは9月8日、福島県内で小児甲状腺がんが見つかった割合(有病率)に地域差がなく、東京電力福島第1原発事故による外部被ばく線量との関連がなかったとする研究結果を発表しました。国際的な医学誌『メディスン』電子版に9月2日掲載されました。

 同グループは、2011年10月から15年6月に福島県民健康調査の甲状腺先行調査を受診した18歳以下の男女30万476人を対象に検討。

 県民調査による個人の外部被ばく線量結果をもとに、県内を①5ミリシーベルト以上の人が1%以上いる地域、②1ミリシーベルト以下が99・9%以上の地域、③それ以外の地域の三つに分けて、外部被ばく線量と甲状腺がんの関連を分析しました。

 最も線量の高い①の地域で、甲状腺がんが見つかった割合は10万人当たり48、最も低い②の地域で同41、③が同36で、甲状腺がん有病率に地域差が見られなかったとしています。

 内部被ばく線量を考慮したWHO(世界保健機関)の被ばく線量分析結果に基づく地域分類でも検討しましたが、甲状腺がん有病率との有意な関連はみられなかったといいます。

 同グループは、震災後4年の調査で外部被ばくと甲状腺がん有病率との関連はみられず、今後、追跡調査によってさらに検討する必要があるとしています。

 (「しんぶん赤旗」2016年9月10日より転載)


甲状腺がんなど支援の基金設立

 3・11甲状腺がん子ども基金の設立会見が9月9日、東京都内で開かれました。同基金は、福島第1原発事故以降、甲状腺がんや、被ばくの影響によると思われる病気に苦しむ人々への支援と健康問題の解決が目的です。

 代表理事の崎山比早子さん(元国会事故調査委員会委員)は、「本来なら原子力政策を進めてきた政府が、責任をとるべきことです。広く国の内外に呼びかけて、困難を抱えている甲状腺がんの子どもたちを経済的に支援し、さまざまな形で支えていきたい」と語りました。

 副代表理事の武藤類子さん(福島原発告訴団長)は「高額の治療費や手術費用は、家計を非常に圧迫する。付き添いのために仕事を休まなければならない場合もある。そうしたことに対する十分なケアがないのが現状だ」と述べ、多様かつ手厚い支援の必要性を訴えました。

「しんぶん赤旗」2016年9月10日より転載)