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中池見湿地の保全および、LNG備蓄基地建設の撤回を・・中池見トラスト、ゲンゴロウの里基金委員会が敦賀市、同議会、福井県に申入れ

大阪ガスがLNG(液化天然ガス)備蓄基地を計画している福井県敦賀市樫曲地区の中池見湿地に活断層の可能性が指摘されたとし、同湿地の全面保全と建設計画の撤回をもとめている「中池見湿地トラスト」ゲンゴロウの里基金委員会の幹事四団体の代表六人は6月16日、同計画にかんし敦賀市、同議会と県に申し入れをおこないました。

このうち敦賀市には、大阪ガスによる地質・地形調査などの資料の公開、市の責任で第三者の専門家に委嘱し活断層の有無と事業予定地の適地性にかんする調査・検討およびその結果の公表などを要請しました。

「つるが草の根の会」代表の坪田嘉奈弥さんらは、中池見湿地内をはしる地穀変動の結果を示す航空写真を示し「最近リニアメント(直線的地形)の存在が認められ、活断層の可能性もあるとの指摘が専門家からあった」と説明。同計画の対応で自治体は、企業の資料だけで断定せず独自の資料をもって判断すべきだと要請しました。

橋本幸夫・産業経済部長らは、「資料は多分開示されると思う」とし、また「市民生活の安全を考えると二重、三重のチェックを行政として考えていきたい」とのべました。

▲申し入れの内容▲

  1. 基地予定地内で大阪ガス(株)が委託して行なった地質・地形・ボーリング調査等、活断層と地震に関係するすべてのデータ・資料の公開を求めます。
  2. 自治体の責任において、独自に地形・地質・地震・土木等の第三者の専門家に委嘱し
    ・予定地を中心とした活断層の有無
    ・事業予定地の適地性に関する厳密な審査・検討を行なうこととその経過と結果の公表を求めます。

◆「敦賀LNG基地計画に関する申し入れ書」の全文

敦賀市 市長 河瀬一治 殿・敦賀市議会議長 殿        1997年6月16日
福井県 知事 栗田幸雄 殿

「中池見湿地トラスト」ゲンゴロウの里基金委員会
幹事団体          緑と水の会
〃       つるが 草の根の会
〃    中池見を伝える女たちの会
〃       中池見・シボラの会

敦賀LNG基地計画に関する申入書

大阪ガス(株)が敦賀市樫曲地区中池見湿地を中心に現在進めているLNG(液化天然ガ ス)基地の建設計画に対し、私たちは、安全性に問題があり、市民の願う港振興や観光のまちづくりを阻害するのみならず、今日わが国ではほとんど見られなくなった低湿地の優れた自然環境と豊かな動植物相を完全に破壊する事業であり、その撤回と同湿地の全面保全を求めてきました。中池見湿地の学術的重要性については日本生態学会もその保全の重要性に関して、学術調査の結果を踏まえ、事業者、並びに敦賀市、福井県、環境庁に対して、昨年3月大会決議をもって要望しているところです。

本日、ここに申し入れる内容は、敦賀市民、福井県民全体にとりまして住環境の維持、保 全、さらに災害時の安全性を考えた場合に看過できない重要な諸問題を含んでおり、敦賀市政の総責任者としての貴職の責任ある対応を求めるものです。

申し入れの理由

平成8年5月に大阪ガス(株)から出された環境影響評価書7,1 2「関係地域住民の環境 の保全 以外に関する意見(1)地震等に関する意見」のなかで、「地震に関する質問」に対し、事業者の見 解として「事業予定地内の地表・地質踏査、ボーリング調査結果からは、事業予定地内には活断層の 存在は認められません」と答えています。また敦賀市も平成8年2月の公開質問状の回答で「文献に よれば現在までに確認されている活断層は基地予定地内にはありません」との答えでした。

しかしながら最近、この地区を研究している地質学者、地震学者、地球物理学の専門家より「中池 見湿地内を走る地殻変動の結果を示すリニアメント(直線的地形)の存在(別紙航空写真参照)が認 められ、活断層存在の可能性もある」との指摘がありました。このことが事実とすれば、これまでの 大阪ガス(株)の発表と敦賀市の見解をまったく覆すものであり、LNG基地建設の適地性に関して 根底からの検討が必要になるもので、敦賀市民としては到底看過できない重大な問題であります。

そこで私たちは、この意見の客観性を確認するべく、これまで発表された中池見湿地並びに周辺地 域に関する文献資料、航空写真、大阪ガス(株)の環境影響評価書などに掲載された諸資料を、各方 面の専門家に届け、広く意見を求めてきました。

その結果、活断層についての共通した意見として

  1. 環境影響評価書に記された調査では、活断層がないことを立証できない。
  2. リニアメントの存在は認められるが、これが活断層であることを立証し、または否定するためにはボーリング調査を含め厳密な調査を必要とする。
  3. 予定地内に活断層がなくとも、周辺の活断層の活動により、中池見湿地の地盤構造に大きな地震動が伝播した場合、問題が多く、正確な解析が必要である。との回答を受け取りました。

また、それぞれの専門的立場からの意見として、活断層については

  1. 中池見を地形形成史から見ると、断層運動によって形成された袋状の埋積谷と考えられる。
  2. 指摘されているリニアメント周辺で活発な湧水が見られるが、これは断層現象に関連しているものと考えられる。
  3. 大阪ガスの環境アセスメントで実施されたボーリング調査は地質調査であり、この密度では断層の調査とはいえない。各種の物理探査や高密度のボーリング調査が必要不可欠である。
  4. これまでの大阪ガス(株)による環境アセスメントの元データの厳密な再評価が必要である。

更に、危険性と基地建設の適地性については

  1. 敦賀は、敦賀湾ー伊勢湾構造線と花折ー金剛断層線の交点に位置し、もっとも地震の危険性が高いと指摘されている地区である。その上、中池見は非常に特異的な地形であり予測不可能な事象も考えられる。内部に活断層があるか否かにかかわらず、立地については慎重に検討するべき である。
  2. 60m以上におよぶ泥炭層など軟弱地盤に不均質な部分があると、不等沈下が生ずる可能性があり、このような場所での大型施設の建設は避けるべきである。断層があれば更に問題は大きい。
  3. 断層があれば水が漏洩し、地盤改良のための水抜き工事による影響が他の隣接地区に及ぶ。
  4. 中池見の地質は径約500m深さ約100m近くの窪地の中に粘土や有機質から成る軟弱層が溜まった形である。硬い地盤を通ってきた地震波が、著しく性質の異なる軟弱層に伝わったときにどのような挙動をするかは、解析が困難である。このような地形では地震波はレンズ効果による予想外の増幅も考えられ、相当の地盤改良をしても地震動の増幅や液状化の危険が残る。
  5. 現在一般に、地震による地盤の地振動予測では、岩盤と体積層の境界は水平な平面構造であると仮定して解析しているが実際は岩盤と堆積層の境界で屈折し、その中央に集まる。地盤の安定化工事で地震動は現状より低減すると予測しているだろうが、地震動の解析を明らかにする必要がある。

等の意見でありました。

私たちは、上記の各専門家の意見を集約・検討し、下記の申し入れをいたします。

申し入れの内容

  1. 基地予定地内で大阪ガス(株)が委託して行なった地質・地形・ボーリング調査等、活断層と地震に関係するすべてのデータ・資料の公開を求めます。
  2. 自治体の責任において、独自に地形・地質・地震・土木等の第三者の専門家に委嘱し、
    1. 予定地を中心とした活断層の有無
    2. 事業予定地の適地性、に関する厳密な審査・検討を行なうこととその経過と結果の公表を求めます。誠意ある対応と回答を速やかに寄せられるよう要請いたします。
      (付記・・この申し入れは、同じ趣旨のものを福井県、敦賀市議会にも行ないました。福井県と敦賀市が協力し、措置されるよう要請します。)

 

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