地震学会などの学術団体で構成する日本地球惑星科学連合の大会が5月25日、千葉市内で開かれました。熊本地震をめぐる緊急の会合が行われ、地震学者たちが被害をもたらした強振動の発生メカニズムなどについて意見をかわしました。現地を調査した名古屋大学の鈴木康弘教授は、阪神淡路大震災以来の活断層評価や直下地震の対策が妥当だったのかが厳しく問われていると問題提起しました。
鈴木教授は、南阿蘇村で倒壊したアパートなど、活断層の直上にある建物がことごとく全壊し、阪神淡路大震災のときにもいわれた″震災の帯″があらわれていると指摘。断層があると知りながら有効な対策が取れなかったことは人災だと強調しました。
鈴木教授は、布田川断層帯・日奈久断層帯について、政府の地震調査研究推進本部の2013年の長期評価では別々に評価しているが、02年には全体を一つの断層帯として評価していたことを紹介。(02年の評価が続いていれば)前震を一連の
断層で起こった一回り小さな地震だという発想も生まれ、このままで終わるのかと考えることにもつながったと思われると述べ、今回の地震を教訓に活断層評価の見直しが必要との見解を示しました。
(「しんぶん赤旗」2016年5月26日より転載)