断層帯の延長線に懸念・・活発な地震続く 警戒
熊本県阿蘇地方で4月18日午後8時41分にマグニチュード(M)5・8、最大震度5強の地震が発生したことを受け、気象庁の青木元・地震津波監視課長は同日夜記者会見し、「周囲の状況を確認して身の安全を図ってほしい。今後も強い揺れを伴う地震に十分警戒が必要」と述べました。「阿蘇山の状況に特段の変化はない」といいます。
震源は熊本・大分県境近くで、16日未明にもM5・8の地震が2回起きました。M7・3の地震を起こした布田川断層帯の北東に位置します。
19日午後5時52分ごろには熊本県熊本地方で震度5強の揺れを観測、同県天草・芦北地方でも震度5弱を観測しました。
日本地震学会の加藤輝之会長は18日に防災関係学会の代表がそろって記者会見した際、現在、活発に活動している熊本地方の布田川・日奈久断層帯の延長線上で地震活動が活発化する可能性に言及しました。
一つは同断層帯の南西方向の延長線上で、加藤会長は「布田川断層帯西側の宇土区間と、(八代海に向けて延びる)日奈久断層帯南西側に末破壊部分が残っている。わずかな活動がみられており注意が必要だ」と述べました。もう一つは北東方向の延長線上にある日本最大級の活断層、「中央構造編」です。「現状での評価はできない」としながらも、懸念を表明しました。
一方、最大でマグニチュード9クラスの巨大地震が想定される南海トラフ地震への影響は、今回の震源が遠く、メカニズムも違うことから、否定的な見方を示しました。
(「しんぶん赤旗」2016年4月20日より転載)
熊本・益城 分岐断層を発見・・広島大が調査
熊本県などで起きた地震で、広島大学の後藤秀昭准教授らは4月19日までに、同県益城町などを調査して地表に出現した断層(地表地震断層)を確認したと発表しました。16日未明にマグニチュード(M)7・3の地震を引き起こした布田川断層帯・布田川区間沿いの断層のほか、同町北東部で枝分かれして町の中心部に延びる分岐断層も発見しました。
後藤准教授は「益城町中心部で建物の被害が大きかったのは、分岐断層が原因と考えられる」と説明しました。
地表で確認できた断層は、布田川断層帯沿いが長さ約10キロ分で、益城町北東部からほぼ南西方向に延びます。一方、分岐断層は同町北東部から西南西方向に分かれ、町役場の南まで約5キロ延びていました。
(「しんぶん赤旗」2016年4月20日より転載)