“断層延長線上”の地震も・・防災関連学会 専門家が指摘
熊本県と大分県を中心に相次いでいる地震について、防災関係の学会の代表が一堂に会して4月18日、東京都内で記者会見しました。地震が起こっている断層の延長線上でさらに地震が起こる懸念があること、地震の揺れの強さが建築基準法にもとづく耐震性を上回っていたことなどが紹介されました。主催は、防災関係の学会のネットワークである「防災学術連携体」です。
日本地震学会の加藤輝之会長は、九州地方の北部が南海トラフから沈み込んでいるフィリピン海プレートによって北西方向に押される一方、南部は沖繩トラフの拡大に伴って南東方向に押され、大分県から熊本県にかけて「別府−−島原地溝帯」と呼ばれる構造が存在すると、今回の地震活動の背景を説明。地震を起こした断層の延長線上で地震活動が高まる可能性があるとして、北東側の中央構造線や、まだ活動していない日奈久断層帯の南西方向で地震が起こることが懸念されると述べました。
日本建築学会の和田章・元会長は今回の前震と本震の揺れの強さを周期ごとに解析し、建築基準法で想定している値と比較すると、前震では3秒よりも短い周期で、本震では5秒よりも短い周期で、その値を上回っているという研究結果がまとめられていると報告。今回のように次々と強い揺れに襲われた場合の耐震性をどう確保していくか、研究が必要だと述べました。
日本地すべり学会の落合博貴副会長は、南阿蘇村で発生した斜面の崩壊について、急な崖や尾根の直下で発生したものが多いため、凸地形による地震動の増幅効果による可能性があること、7日に100ミリを超える雨が降っており、斜面の地下水が豊富だったことも原因となった可能性があることなどをあげました。
日本活断層学会は、広島大学のチームや産業技術総合研究所のチームなどが、益城町で最大2メートルの右横ずれを示す地表地震断層の存在を確認したことを文書で報告しました。
(「しんぶん赤旗」2016年4月19日より転載)
農地に出現した2メートルずれた断層
4月16日未明に起きたマグニチュード(M)7・3の地震で、熊本県益城町付近の農地に出現した断層が見つかっています(写真=産業技術総合研究所提供)。M7・3の地震を起こした布田川(ふたがわ)断層帯東端の布田川区間沿いにあ
り、約2メートルずれています。
(「しんぶん赤旗」2016年4月19日より転載)