茂木敏充経済産業相は2月18日の閣議後記者会見で、原子力規制委員会が進めている原発の適合性審査について「見通しを示すことは、事業者が経営に一定の見通しを持つ上で有益だ」と述べ、審査にどれだけ時間がかかるかを示すことが重要だとしました。経産相の発言は、再稼働を急ぐ電力業界の意を受けて、規制委に審査終了時期の見通しの提示を暗に促したとも受け止められそうです。
これに対し、規制委の事務局である原子力規制庁の 森本英香次長は「経産相がそう述べるのは、ごく自然だが、今後の審査を時間軸で述べるのは難しい」と発言しました。
規制委は昨年(2013年)7月に原発の新たな規制基準を施行し、これまでに電力8社が計17基の原発について適合性審査を申請。茂木経産相は「規制委の審査に予断を与えるものではない」としながら、「(審査の)申請から相当な時間がたっているものがあるのも事実だ」と指摘。適合性審査を再稼働の手続きとしかみていない姿勢を改めて示しました。
北海道電力は17日、昨年7月に適合性審査を申請した泊原発(北海道泊村)の再稼働時期が見通せないとして、電気料金の再値上げを検討する方針を発表しました。
審査効率化ヘチームを再編
原発両稼働の前提となる規制基準の適合性審査で、原子力規制委員会は18日、審査チームを再編し、東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型原子炉を専門に審査するチームを新たに設置したと発表しました。
適合性審査は、これまでに電力8社が10原発17基を申請。事務局の原子力規制庁は職員約80人を4チームに分け、うち1チームを各原発共通の地震・津波の審査担当に、残り3チームに申請のあった原発を振り分け、設備や機器の審査を進めてきました。
昨年7月の審査開始と同時に申請があった関西電力大飯原発(福井県)など加圧水型6原発の審査が先行していましたが、昨年秋以降は東電柏崎刈羽(新潟県)、中国電力島根(島根県)、東北電力女川(宮城県)、中部電力浜岡(静岡県)と沸騰水型の申請が続きました。
規制庁は審査の効率化を図るため、職員9人で沸騰水型専門のチームを編成。今後の審査状況を踏まえ、増員していくといいます。