原子力規制委員会は4月13日、京都大学と近畿大学の研究用原子炉について新規制基準に適合しているとする審査書案を了承しました。試験研究炉に対しては、2013年12月に新規制基準を施行しましたが、審査書がまとめられたのは初めて。低出力などの理由から、審査結果に対する意見募集は行いません。
審査書案がまとまったのは、京大臨界実験装置(大阪府熊取町、出力100ワット)と近大原子炉(大阪府東大阪市、出力1ワット)。それぞれ2014年9月と10月に申請。
新規制基準では500キロワット未満の試験研究炉は低出力として、原発に求められている重大事故対策は求められていません。一方、新たに火災や竜巻など外部事象に対する対策は必要とされています。
京大炉、近大炉は設置許可から、それぞれ44年と56年の古い施設です。旧規制制度には、バックフィット(新たな規制基準の既存施設への適用)要求がなかったことから、これまで大きな変更はされてきませんでした。
田中俊一委員長は、「このレベルの試験炉は潜在的リスクが発電炉とはまったく違うので(審査を)どう進めるのかは検討材料だ」と述べました。
規制委は、原子力委員会と文部科学相の意見聴取後、設置変更の許可または承認を行う予定です。二つの施設が運転を行うためには、設計および工事方法の認可や使用前検査などが必要です。
(「しんぶん赤旗」2016年4月14日より転載)