原子力規制委員会から運営主体の交代を勧告された日本原子力研究開発機構・高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の設置許可取り消しを求め、福井県民などが規制委を相手取った訴訟の第1回口頭弁論が3月23日、東京地裁(舘内比佐志裁判長)で開かれました。
意見陳述した原告の中嶌哲演さん(74)=明通寺住職、福井県小浜市=は、「環境汚染・戦争への道を選ぶのか、生きとし生けるものと平和に共生できる道を選ぶのか」と述べ、池島芙紀子さん(76)=大阪府枚方市=は、核燃料サイクルは完全に破綻したとして「核のゴミはゴミ。決して資源などではない」と訴えました。
原告弁護団は海渡雄一・共同代表弁護士が「『もんじゅ』は猛毒物質のプルトニウムを燃料とし、水や空気と激しく反応するナトリウムを 冷却材とする特殊な原発です。『もんじゅ』は1995年に数ヶ月試運転しただけで発電実績は1億200万キロワット時、フル出力運転の15日分に過ぎません。1995年のナトリウム火災事故が起きてから、ほとんど停止したままです。建設費と維持管理費、燃料費は1兆3300億円に達しています」とのべ、国民にとって危険で必要性がなくなっていることを指摘した上で、「これ以上もんじゅの延命を図るべきではなく、速やかに設置許可処分を取り消して廃止措置を取らせなければなりません。原子力規制委員会は、勧告に述べた自らの認識に忠実に、設置許可を取り消すべき義務があると考えます」と主張しました。
規制委は昨年11月、機構にもんじゅ運転の「資質がない」として、機構に代わる主体を示せなければ「在り方を根本的に見直すこと」と文科相へ勧告していました。
規制委側は訴えを退けるよう求めており、争う姿勢とみられます。
原告弁護団によると、機構は「訴訟の結果により権利を害される第三者」だとして行政事件訴訟法に基づき訴訟参加を申し立てました。行政を相手取った原発関連訴訟で、電力会社が訴訟参加するのは異例といいます。
原告は、もんじゅから半径250キロ圏内の福井、兵庫、愛知、鳥取、岐阜、京都、大阪、滋賀など12府県の住民計105人。
次回は、5月30日に会かれます。
(2016年3月23日、山本雅彦)