「被災した時は『がんばらねば』と必死になっていたと思う。3年目ころから、疲れが出てきた。この前は顔に炎症が起きて、手術を受けたの」治療痕を見せながら語るのは、岩手県宮古市田老の仮設住宅で暮らす女性(57)=水産加工会社勤務=です。
生活と住宅の再建が長引くもとで、体調の悪化を自覚する被災者が少なくありません。
また、自宅の建設費用や引っ越し費用など多額の出費を予定する被災者が多くいます。
出費はこれから
こうした中、医療費の窓口負担などの免除措置の継続・再開を望む声が圧倒的です。
アンケートで「必要なので継続・再開してほしい」が92%を占めました。
免除措置は、国民健康保険(国保)加入者が診療や介護保険を受けるときの窓口負担や介護保険の利用料を免除する被災者支援のひとつです。
アンケートでは、国保に加入していない被災者からも「継続・再開してほしい」と、免除措置を支持する声が寄せられました。
冒頭の女性は「私は国保ではないから、免除されてないけど。災害公営住宅に入るお年寄りも多い。これからお金もかかってくるのでサポートが必要」といいます。
免除費用は震災直後、国の全額負担でした。しかし2012年10月から国の負担は8割に。
岩手では県と自治体が負担することで継続し、今年12月末まで行われることになっています。
仮設で健康悪化
宮城では、一度は打ち切られましたが、国保加入者で所得が低い人などに対象を限って14年4月から再開しました。しかし、国の支援継続が不透明なうえ、県が財政負担をしないため、今年度で免除を打ち切る予定の自治体も出ています。福島では、原発事故の避難区域などで免除措置を行っています。
アンケートに答えた宮城県石巻市の今野八重子さん(83)は病院に月2回通院し、週1回ヘルパーの訪問を受けています。
「免除は必要なので継続してほしい。助かっています。妹が住む岩手県は免除を全県で続けているんですね。岩手はいいなと思います」と語ります。
岩手県山田町の災害公営住宅に暮らす女性(85)は、隣の大槌町の病院に通院しています。「バスでは不便なので、タクシーで行くのに3000円もかかる。病院代がかからないのが救い」といいます。
宮城県気仙沼市の年金生活の女性(66)は訴えます。
「仮設で長く暮らしている間に高血圧や腰痛になった。仮設で健康を悪くした被災者は多い。だから免除はもっと対象を広げてほしい」
「つづく」
(「しんぶん赤旗」2016年3月13日より転載)