国内の原発で唯一運転中の九州電力川内原発(鹿児島県)で事故が発生した場合、周辺住民の避難の判断基準となる放射線量を測定するモニタリングポスト計92台のうち52台が、即時避難の基準値を測定できないことが3月14日、原子力規制庁への取材で分かりました。
規制庁によると、原発事故が起きた場合、半径5キロ圏の住民は直ちに避難します。5〜30キロ圏は屋内に待避し、放射線量を基に避難の有無を判断。毎時20マイクロシーベルトが1日続いた場合は1週間以内に、500マイクロシーベルトが測定された場合は直ちに避難します。
川内原発の5〜30キロ圏には48台のモニタリングポストが設置されていますが、うち22台は同80マイクロシーベルトまでしか測定できません。残る26台は同10万マイクロシーベルトまで測れるといいます。
他に運搬可能なモニタリングポストがあり、14台は同1万マイクロシーベルトまで測定できますが、30台は同100マイクロシーベルトまでしか測れません。固定式の22台と合わせ52台が基準値を測定できないことになります。
一方、関西電力高浜原発がある福井県に隣接する京都府では、30キロ圏にモニタリングポストが14台、可搬型が5台、車に搭載された移動型が4台あります。さらに27台を設置する予定でしたが、1月の高浜3号機の再稼働には間に合いませんでした。追加分は3月下旬から運用を始めますが、3号機は大津地裁の仮処分決定で10日に停止、4号機はトラブルで2月末から停止しています。
モニタリングポストの問題では昨年11月、川内原発周辺のモニタリングポスト25台が断続的に測定不能になっていたことが会計検査院の指摘で発覚。「ストップ再稼働! 3・11鹿児島集会実行委員会」が「モニタリングポストの不備は、避難計画の根本が崩壊したことを意味する」と、設置した鹿児島県に抗議していまし
た。
(「しんぶん赤旗」2016年3月15日より転載)