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国民の声 司法動かした・・高浜原発運転差し止め/いのちと、びわ湖守る 子を連れた母ら喜び

 「声明」を読み上げる申立人団の辻団長(左から3人目)ら=9日、大津市
「声明」を読み上げる申立人団の辻団長(左から3人目)ら=9日、大津市

 「いのちとびわ湖を守る運転差し止め決定!」「再稼働差し止めの画期的決定!」。雨の降るなか、滋賀県の大津地裁前に集まった人たちは、申し立て人や弁護団が勝利を告げる紙を広げると歓声を上げ、手を取り合って喜び合いました。幼い子どもを連れたお母さんはうれし涙を流しました。

 大津市内で開かれた報告集会は支援者や市民らが会場を埋め、喜びにあふれました。

 申し立て人の辻義則団長は「速やかに原発ゼロを実現することは市民の大多数の意思である」との申立人団と弁護団の声明を高らかに読み上げ、「決定文の『高浜発電所3号機及び同4号機を運転してはならない』との一節を目にした時、鳥肌が立つような感動を覚えました。よくぞ勇気を持って、県民の願いに応える決定を下してくれたと感謝の思いがあふれた」と語りました。

 井戸謙一弁護団長は、「福島第1原発の経験を踏まえて、どのような判断をしなければならないのかという自覚に貫かれた決定だと思います。この点が昨年(2015年)12月の福井地裁の異議審決定とはまったく違う」と述べ、決定内容について解説しました。

 福島県南相馬市から大津市に避難し、大津地裁での原発訴訟に加わっている青田勝彦さん(74)は「(福島原発事故から)5回目の正月を迎え、今まで何があっても心から楽しめること、笑えることはなかったが、今晩は本当にうれしい酒を飲みたい」と発言。会場から大きな拍手が起こりました。

 申し立て人の一人、泉勝男さん(72)高島市=は、「私の住む高島市は、市の一部が高浜原発の30キロ圏内に入っています。稼働中の原発を止める今回の決定を励みに、さらに気を引き締めて『原発ゼロ』の運動に頑張りたい」といいます。

 大津地裁前に駆けつけた西山佳子さん(72)=滋賀県守山市=は「とてもうれしい。福島原発事故の現実をしっかり見たら、この決定しかないと思います。国民の声が司法を動かした」と話します。

 


「住民の声認めた」・・京都総評議長が緊急談話

 大津地裁が3月9日に高浜原発3、4号機の運転差し止めを決定したことを受け、京都総評(梶川憲議長)は同日、緊急の議長談話を発表しました。談話では、地裁の決定が「住民の声を認めた画期的決定」と強調。

 関西電力が抗告を断念して事故処理と住民説明に徹し、再稼働を断念すること、政府は即時に再稼働を中止すること、京都府をはじめ各自治体首長が再稼働に反対表明を行うことなどを求めています。


 

「承服できない」・・関電

 関西電力は9日、大津地裁が高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じた仮処分決定を受け、「極めて遺憾であり、到底承服できない」とするコメントを発表しました。

 関電は「高浜原発3、4号機は原子力規制委員会から設置変更許可をいただいている」とした上で、「決定に従い高浜3号機を停止するが、速やかに不服を申し立て、早期に仮処分を取り消していただくよう主張、立証に全力を尽くす」としています。


 

「申し上げることはない」・・規制委員長

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は9日の定例記者会見で、高浜原発の差し止め決定について問われ、「申し上げることはない」と繰り返しました。

 決定が出た直後、午後4時から東京都港区で行われた記者会見。田中委員長は「まだ中身を承知していない」と語り、3号機の停止作業に関しては「うち(規制委)が何かしなければいけないかというと、何もない」と述べるにとどめました。

 今後の審査への影響を問われると「分かりません」とぶぜんとした表情を浮かべました。

(「しんぶん赤旗」2016年3月10日より転載)