関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)は安全性が確保されていないとして、滋賀県の住民29人が再稼働差し止めを求めた仮処分申請で、大津地裁(山本善彦裁判長)は3月9日、「過酷事故対策などで危惧すべき点があり、津波対策や避難計画にも疑問が残るのに、関電は主張を尽くしていない」として、運転停止を命じる仮処分の決定を出しました。高浜原発3、4号機の差し止め決定は昨年4月の福井地裁に続き2件目。運転中の原発の運転停止を命じる仮処分決定は初めてです。4号機はトラブルによって運転停止中で、関電は運転中の3号機の運転を10日に停止すると発表しました。
「勝利の瞬間、涙が出てきました。動いている原発を止める仮処分決定は画期的で、『原発ゼロ』をめざす全国の運動にものすごく影響がある」と、大津地裁に駆けつけた大津市の男性(65)は喜びます。
住民側は、関電が高浜原発で想定する地震の揺れなどでは、安全を担保する上で不十分だと指摘。事故が起きれば放射性物質で琵琶湖が汚染され、人格権を侵害されると主張しました。一方、関電は、高浜原発は新規制基準に適合しており、安全は確保されていると反論していました。
大津地裁の決定は、東京電力福島第1原発事故の原因究明が「道半ば」だとして、「原因究明を徹底的に行うことが不可欠」と指摘。「避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準が望まれる」など原発の新規制基準が福島第1原発事故の教訓を踏まえていないことを指摘しています。
また、想定する地震の揺れについて関電の調査の疑問点などについて、十分な主張がされていないと繰り返し指摘。過酷事故対策なども「危惧すべき点がある」とし、住民の人格権が侵害される恐れが高いにもかかわらず、関電は「主張を尽くしていない」としました。
関電は決定を不服として異議と執行停止を申し立てるとしています。
画期的な判断 小池政策委員長が談話
日本共産党の小池晃政策委員長は9日、談話を発表しました。
2014年5月の大飯原発3、4号機差し止め判決、2015年4月の高浜原発3、4号機再稼働差し止め仮処分決定に続く、画期的な司法判断です。
安倍政権と電力会社は、この度重なる判断を重く受け止め、高浜原発はもとより、全国の原発の再稼働を直ちに断念すべきです。
日本共産党は、原発再稼働を許さず、原発ゼロの日本を実現するため、全国のみなさんとともに全力を尽くします。
(「しんぶん赤旗」2016年3月10日より転載)