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東日本大震災5年 被災3県議団長語る④(終)・・岩手・斉藤信さん、宮城・遠藤いく子さん、福島・神山悦子さん/座談会

左から神山悦子福島県議団長、斉藤信岩手県議団長、遠藤いく子宮城県議団長
左から神山悦子福島県議団長、斉藤信岩手県議団長、遠藤いく子宮城県議団長

 岩手、宮城、福島の斉藤信、遠藤いく子、神山悦子3県議団長に話し合ってもらいました。

500万円へ支援金増は急務・・斉藤

 斉藤 住まいの問題でいうと、住宅再建が進まない大きな理由が建設費の高騰です。2014年4月の消費税8%増税もダメージになっています。震災前から坪単価が20万円上がって、70万円以上となっています。30坪の家なら600万円くらいの負担増です。国が住宅再建の支援金を300万円から、せめて500万円に引き上げるのは急務です。

 遠藤 宮城県の災害公営住宅の行政コストは1戸あたりにすると約1800万円。自宅再建が被災者にとってベストだし、コスト面でも重要です。国の支援金が500万円になれば「よし、自分で頑張って建てよう」ということにもなると思います。

 神山 長年の自民党政治が「個人の財産形成になるようなことはできない」という施策を続けてきましたが、阪神・淡路大震災以降、住民の運動でそれを変えさせてきたわけで、さらなる前進が必要ですね。

交流つくる柔軟な施策を・・遠藤

 遠藤 1月下旬の宮城県地方議員の政府交渉で一般のアパートなどに入居している「みなし仮設住宅」を、そのまま「みなし災害公営住宅」としての扱いに移行させることは可能だという回答を得ました。コミュニティーの維持という点て柔軟

な住宅選択が大切ですね。

 斉藤 災害公営住宅に移った後のコミュニティーをどう作るかは課題ですね。陸前高田の自治会長さんがいっていましたが120戸を超える入居者の20人くらいしか知らないとのことでした。集会所はあるが、肝心なのは支援員の配置です。巡回型でなく常駐する支援員を配置しないと、孤独死が増えていくのではないか。

 神山 福島の場合は避難地域とそれ以外の人で賠償や、行政施策に格差があります。両者が同一地域で暮らしているので、住民や避難者同士のあつれきもあり、多様な原子力災害特有の問題があります。

 遠藤 津波で被災し内陸の仮設で暮らしている人から相談を受けました。上の子が学校になじめず、朝4時におきて友人のいる沿岸部の学校に送り迎えしている。夫の仕事の関係もあり沿岸部で自宅再建する方向だが、下の子はPTSD(心的外傷後ストレス障害)がひどく、海が見たくないという。震災から5年たちますが、こうした問題を抱えてみんな必死で生きている。住まいと日常を取り戻す生活の再建こそ復興の柱だと思う。

 斉藤 なぜ復興が遅れているか。「千年に一度の災害」といいながら、復興予算の遅れ、縦割り行政、使い勝手の悪い交付金など、従来の枠組みでの対応となりました。そして5年たったから集中復興期間は終わり、財源も被災地の一部負担ということで、被害の大きい市町村ほど重い負担となるシステムを持ち込むとはもってのほかです。被害の大きい自治体では被災者支援のためやりたい施策はあるが、財源の不安から二の足を踏むというものが、まだ多くあります。

復興へ安倍悪政転換必要・・神山

 神山 安倍政権の悪政の転換の必要性をつくづく感じます。福島の原発事故から何を学んだのか。全国で原発再稼働に突き進む姿勢に県民は怒っています。農業は県の基幹産業です。原発事故での放射能汚染で苦しめられ、何とか再生しようとの動きもあるなかで、TPPで苦しめられる。県民切り捨ての安倍暴走政権とのたたかいは、復興を進める上でも重要課題です。

(おわり)

(「しんぶん赤旗」2016年3月2日より転載)