関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働差し止め訴訟で控訴審の第7回口頭弁論が2月29日、名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)で開かれました。
住民側は、若狭湾で津波が発生した事実はないという関電の主張を疑わせる新たな津波痕跡が新知見として得られていることを指摘し、追加調査を拒む同社の態度を批判しました。
新知見として発見されたのは、2013年度に始まった文部科学省委託プロジェクトの一環とされる調査により、14〜16世紀ごろの若狭湾の津波発生を裏付けるものとして、高浜町の約500メートル内陸に見られた砂や貝殻など。住民側は「(関電が)調査の対象にしていなかったものだ」と強調しました。
3人の子をもつ鯖江(さばえ)市の佐々本真子(しんこ)さん(42)が意見陳述し、「土も海も汚染されている」「こんなに食品を心配しなければならない時代が来るとは思ってもみなかった」と訴えました。
住民側は、原発敷地の地震動の生データや、敷地の地下構造を3次元的に掌握するためのデータを提出するよう再度要求。関電が原子力規制委員会に提出した解析結果では検証できないとしました。また、関電が位置などの説明を一変させた敷地内破砕帯の検証や、東京電力福島第1原発事故の現地訪問による被害確認などを申し立てました。次回以降は6月8日、10月19日になりました。
この日は、関電高浜原発3、4号機(同県高浜町)の再稼働差し止め仮処分を取り消し、大飯3、4号機の再稼働差し止め仮処分申し立てを却下した福井地裁決定に対する抗告の審尋も同金沢支部で開かれました。
(「しんぶん赤旗」2016年3月1日より転載)