宮城県の被災者の応急仮設住宅入居戸数は現在、ピーク時の42・9%。ただし、プレハブ仮設でみると51・5%と、半分以上の2万3763人が入居しています。災害公営住宅の整備が遅れているところと、プレハブ仮設住宅にいる人が多いところは、ほぼ相関していると思います。1万5918戸建てる計画の災害公営住宅は完了しているのが49・9%です。
仮設住宅の供与期間が6年に延長された市町と、5年までという市町があります。
5市町終了へ
仙台市などの5市町では、5年になる今年の4〜6月に仮設住宅の供与が基本的に終わります。残れるのは「特定延長」といって、再建先が決まっていてその建設が間に合わないという人だけで、「再建方法が決まらない人は出ていって」という、おかしなことになっています。県に被災者の住むところが追われるようなことはするな、と力を込めて主張しています。
仮設住宅にいるのに災害公営住宅の「入居資格がない人」はどうするかという問題もあります。
1月末に行った党県議団の政府交渉の中では、「実際に困っている人は切り捨ててはならない」との回答は得ていますが、市町によっては、税金を滞納しているから資格がない、というところもあります。
生活が大変で税金を払えないという人が、災害公営にも入れないとなると、行くところがありません。
コミュニティーづくりに関しては、災害公営住宅の支援員は巡回型です。プレハブ仮設のように常駐しての支援がないのも課題です。
財政負担せず
石巻市のプレハブ仮設住宅の調査では、半分以上の世帯で収入が減る一方で支出が増え、暮らしが苦しいという結果がでています。県のプレハブ仮設での調査では主婦や学生を含まない無職が40代で14・3%、50代で15・6%もいました。
防災集団移転の土地売却益が収入にみなされ、介護保険で補助が受けられる「補足給付」対象から外された人が出ていた問題は、ようやく改善の方向に踏み出したそうです。
宮城県は苦しい被災者の生活を助ける役割を放棄しています。国保医療費の免除について被災3県で宮城県だけが財政負担をしていません。市町村の努力で対象を限定して何とか今年度は行いましたが限界があり、来年度は継続する自治体と、しない自治体に分かれてしまいました。
災害公営住宅についても、当初、県は1000戸建てるといっていた計画をほごにし、全て市町村に任せて、県営としては1戸も建てていません。被災者への住宅の自立再建への支援もゼロです。
「創造的復興」の名のもとで結局、被災者支援でなく、大型開発中心の「復興」を進めています。
その中でも東松島市が防災集団移転の移転先の土地を30年間無償貸与することを国が認め、他の自治体でも同様の取り組みが広がっています。被災者支援の声をあげ続けることが大切だと思います。
(「しんぶん赤旗」2016年2月29日より転載)